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院長ブログ > 院長ブログ > 二重まぶた修正手術

*このシリーズは、ある程度形成外科の素養がありこれから美容外科医になろうとしている医師向けに書いています。

続き

眼瞼下垂手術について

あなたが形成外科医専門医なら改めていうことはありません。私の場合、切開二重で眼瞼下垂手術の8割はおこなってしまいます(理由は前回を参照)。

残り2割はなにかというと、挙筋腱膜の授動操作になります。

具体的には外角や内角のリリースになります。

しかしお年寄りの本格的な眼瞼下垂でない限り、これを行ってしまうと瞼が開きすぎてコントロールを失います。

ブレーキのないアクセルだけの車に乗るようなものだということを知っておきましょう。

「挙筋腱膜固定する切開二重」も下垂手術と同じですが、挙筋腱膜の操作を覚えれば、上瞼の形を自由に作ることができます。

開きが外ピークの目、内ピークの目、丸い目など自由自在に作ることができれば、目の印象を思い通りに操れます。このあたりが瞼の美容手術の最終目的になるかと思います。

隔膜前脂肪(ROOF)切除について

術者の頭の中に瞼の3次元的な解剖が頭に入っているかどうか、はこの手術をすればすぐにわかります。

瞼には皮膚と粘膜を含めておよそ8層あり、そのうちの一つが隔膜前組織です。

眼窩脂肪と隔膜前脂肪の区別がわかっていると瞼の厚みのコントロールができるようになります。

これを切除する(減量する)ことで得られる効果がいかほどのものか、自分で手術をして術後検診を3か月までしないと本当のところがわかるようにはなりません。

まとめ

眼瞼下垂手術のマスター(具体的には挙筋腱膜について熟知すること、これは車のアクセルです)(アクセルを知らなければ車を運転できるとはいえないでしょう)(糸による簡便な下垂手術や、ミューラー筋のタッキングによる下垂手術は知っておいても損はないかもしれませんが、挙筋腱膜を知らない術者がするのは火遊びです)

隔膜前脂肪切除(ROOF切除)のマスター(これが適切に行えれば瞼の解剖はある程度分かっているといえます)(眼窩脂肪と違って、最初から独立して存在している組織ではないので自分でイメージして切り出していく手術手技が必要 ROOFの底面、上面、頭側、外側、内側それぞれを自分で見切りをつけて切り出す)(切除量と効果の関係は、術後検診をしっかりすることでしか理解できないし身につかない)

シンプルな手術法で患者さんの8割を満足させられる手術とは?

すでに過去のブログで書いてきた方法が大部分ですが、ここでまとめていきたいと思います。

まず「上下瞼の手術」から

埋没法、切開法(挙筋腱膜固定)、眼瞼下垂手術、隔膜前脂肪切除、眉下切開、目頭切開、目尻切開、下眼瞼下制術、下眼瞼脱脂術、下眼瞼切開術、上眼瞼脂肪注入術、下眼瞼脂肪注入術

瞼に関してはまずはこれら一つ一つで確実に結果が出せるようにすることが先決です。

これらで安定した結果が出せないうちに、これら以外の手術をするのは身分不相応です。

これらで確実な結果を出して術後にトラブルを起こさないようになるまでに普通10年はかかります。

まず上瞼の中で、埋没法は美容外科の手術の1丁目1番地です。

これを覚えなくして美容外科の手術は始まりませんし、これ自体がシンプルな方法です。

しかしこの手術でいかにトラブルを減らして患者さんの満足度を上げるかを考えることは重要です。

この手術の優れている点は、術前にかなり正確にシミュレーションができる点です。

ブジーを用いて二重の状態を作って患者さんに診てもらい、その時の患者さんの反応を観察します。

二重幅、瞼の厚み、ラインのでき方(食い込み方)など、その時の状況をできるだけ客観的に説明します。

患者さんは漠然と見ているだけなので、こちらからはできるだけ状況を細かく説明します。

よくないと思われることでもどんどん指摘します、例えば二重にするとかえって瞼が厚ぼったく見えるようになってますよね、とか。

セールストークなどは一切いいません。

患者さんが嫌そうな顔をすれば、埋没では希望通りにならないかもしれないことを正直にお話しします。

その理由は、埋没法によってできる二重を実際にみてもらって、それを基準にして潜在的に患者さんが希望している二重を具体化したいからです。

要するに埋没法には試金石的な役割があり、その患者さんに埋没法で得られない要望があるかどうかが埋没法によって逆に明らかになる、ということです。

そのほかにも埋没法をぜひマスターしなければいけない理由がありますが、最後にまとめておきます。

二重切開法については、瞼板に癒着させて二重をつくる手術ではだめです。

何故なら結果が不安定だからです。きちんと検診をしているドクターならこの方法ではだめだということを知っています。

挙筋腱膜の操作が自由に行えるようになって初めて上眼瞼の手術を自分でコントロールできたといえます。

瞼板法では癒着などという神様しか結果がわからないような現象に運命を託す手術で、これでは術後のトラブルを避けることはできません(術前にお約束した結果を具体化できない手術はトラブルのもとだからです)。

ここまでのまとめ

1埋没法のマスター(術後の腫れが少ない方法を選択 糸が瞼の中でスクエアになる方法が望ましい、締め込みが少ないことで術後の腫れが少なくなる)(結び目をできるだけ小さくするが、術後に見つけやすいことが重要 埋没法の最大の利点は術後に戻せることだから)(取れない埋没法とか結び目がわからない方法というものがいかにばかげているか、それはファンタジーで現実にはトラブルの元になります)

2切開法のマスター(挙筋腱膜を知らずして上瞼を触るべからず アクセルとブレーキのない車に乗るようなものです)(自分でコントロールできない車に乗ったらあとは目的地に着くには道路の状態に身を任せるしかない、運が良ければ目的地に着くこともあるかも)(まずは開瞼幅を自分でコントロールできるようになるまでは二重幅がどうのこうのいうのは無意味)(なぜなら開瞼のぐあいで二重幅などどうにでも変わってしまうから)

クリニックの目標の続きです。

ドクターだけでなく新しいスタッフも大幅に増員する予定です。

それに伴って新人教育面でシステムの確立が急がれます。

我々昭和生まれにはとても難しい分野です。

何しろ今までマニュアルなどというもので学んだこともなく、カリキュラムなどというシステムで教育されたことのない世代ですから。

しかしそんなことを言っていては、平成が終わって令和の時代になった今では通用しません。

ここは教育専門家の力を借りて、今の若いスタッフがスムーズに学んでいけれるシステムを作っていきたいと考えています。

私が具体的に教えられるのは、せいぜい手術のエッセンスだと思っています。

それも、そんなに多くもなく今この記事内で書けてしまうぐらい単純なものです。

瞼なら「挙筋腱膜」「CPF」、鼻なら「鼻中隔軟骨」「鼻翼軟骨」、フェイスリフトなら「SMAS」「リガメント」

これらの解剖学的な組織を正しく理解し、手術時に確実に同定できること、これだけです。

これらはどんな状況にぶちあたったとしても、正しい手術の方向性を示してくれる指標だと思っています。

もちろんこれだけで手術が自由自在にできるようになるわけではありませんが・・・。

令和で通用する教育カリキュラムの確立が急がれます、汗、笑。

二重手術を希望される患者さんが口にされることが多いのは「自然な感じ」にしてください、です。

この「自然な感じ」ってなかなか難しいですよね。

所詮、手術でつくった二重ですから天然とは違います。

元々一重の瞼は分厚いことが多いのですが、手術で二重にすると「無理やり作った二重」感がどうしても強くなります。

そういう瞼でなくても手術で作ったラインは天然の二重より食い込みが強く、閉瞼時にもラインが残ったりして人工感がでます。

ただ、患者さんや患者さんの周りの人々全部がそれを気にするわけではありません。

映画でもテレビでもそうですが所詮全部作りもので、CGを使ってリアルに近づくことはできても所詮偽物ですが、多くの人に感動を与えることができます。

ただ中には、CGはやはり嘘っぽく感じてしまう人もいるように偽物の二重が気になってし方がない患者さんもおられるわけです。

こういった場合、どちらが「いい」、「悪い」ということを問題にするよりも、美容外科医がそれをカウンセリングの時に見抜けずに手術して不満足な結果になった場合の術後の対処法を考えておくことのほうが重要です。

どんなに時間をかけてカウンセリングをしても、二重の手術に限らず結果に不満足な患者さんは一定数おられます。

その時に一番大事なことは手術結果を少なくともリセットできるということ、二重の手術ではそれを可能にする方法が「埋没法」ということになります(美容外科手術でほぼ元に戻すことができるものはとても少ないのです)。

多くのクリニックではそうだと思いますが、二重希望の患者さんが受ける手術の90%以上は「埋没法」になる理由がここにあります。

経営効率重視で考えるなら、術前のカウンセリングに時間をかけるよりは不満足な患者さんの対処法を考えておいてほうがいい、ということです。

手術で最も多い「二重」の相談

今やコスメで簡単に二重にできる世の中ですが、それでも手術で二重を希望される患者さんは減ることはありません。

毎朝二重にする「儀式」のための早起きから解放されるならいっそのこと手術してしまいたい、という患者さんもおられます。

年頃になって友達とお泊り旅行に行くにも寝起きに一重がばれたらどうしようとか、いろいろな悩みの末に手術を決意する方もいます。

美容外科医にとって、二重の手術は埋没法でも手術をすればほぼ100%二重にして差し上げることができます。

ですから美容外科医の最初の手術が埋没法だったというケースがほとんどだと思います。

さらに、二重の手術は潜在的に患者さんが希望している「かわいくなりたい」という希望もほぼかなえることができます。

そんなのあたりまえじゃん、と思うかもしれませんがこれはすごいことです。

美容外科の手術でここまで高率に希望を叶えることができる手術はほかにみあたりません。

(埋没法の優れた点はまた別の記事で書いていこうと思います。)

こういったことから、二重のカウンセリングは簡単に済ませられる、と考えがちです。

しかし、それほどポピュラーな二重手術であるからこそ高度な結果を求めている患者さんも中にはおられます。

一番多いのは、「自然な二重」にしてほしい、というご希望です。

「自然な二重」の意味は、おそらく天然の二重、生まれたときから二重だったと思われるような二重、という意味だと思います。

いかにも「整形」という二重にしてください、という患者さんはめったにいません。

こういった細かい希望まで考慮して二重の手術を考えようとすると、この手術のカウンセリングも容易ではありません。

今まで解剖が大事だとさんざん申してきましたが、解剖の知識が逆に現実を見誤らせることがあります。

解剖がすべてだと思い囚われすぎると解剖学的な名前のない構造物は、存在していても認識できなくなるからです。

手術中は、目の前にあるものを素直に見る目を失ってはいけません。手術中は決して思い込みで突き進んではいけないということです。

例えば上眼瞼挙筋腱膜でも「1枚のもの」と決めつけてしまうと一番重要なものを見失うことがあります。

数枚が重なっているかもしれない、それがばらばらになっているかもしれないと思って手術をすすめると全然違った結果になります。

結論から言うと挙筋腱膜の中でもっとも求心的な、つまり眼窩脂肪に一番近い膜、これが一番パワフルな腱膜であることが多いのです。

だから隔膜を切開し、必ず眼窩脂肪を確認することが重要になってきます。

このはがれてしまっている求心的な膜を遠心的な膜(一般的に挙筋腱膜と思われている膜)に固定するだけで開瞼が十分になることがあり、これを瞼板にまで固定してしまうと場合によっては瞼が上がりすぎてコントロールが難しくなることがあります。

上眼瞼の話が続きましたが、まだ3分の一も進んでいません。しかし同じテーマが続くと飽きますのでいったん上眼瞼をお休みして、次は鼻について記事を書きます。

上眼瞼挙筋腱膜の話が続きます。

上眼瞼の手術で大切なことはもっと他にもたくさんありますが、ここを理解しないとなかなか前に進みませんので少し難しい話でも我慢して聞いてください。

ここからは、形成外科トレーニングを終了しているドクターであることが前提での話になります。

上眼瞼挙筋腱膜は1枚の膜、というように理解していますでしょうか?

もしこのように理解していると、隔膜を切開して眼窩脂肪を確認するということがあまり重要ではなくなります。

隔膜を切開せずに挙筋腱膜と思われる部分を糸で瞼板に固定すればいい、という術式になります。

ところがこれでは眼瞼下垂が改善しないことがあります。

とくに瞼板癒着による切開二重を受けた患者さんの術後修正を手掛けていると、挙筋腱膜の離開という現象に直面して、下垂が容易に改善しないことがあります。

これを理解するにはまず挙筋腱膜は元々数枚の膜が重なってできているもの、と考えればつじつまが合います。

このことは数年前に「美容外科学会」で発表していますが、切開二重の修正をよく手掛けている先生からは賛同を得られました。

その時の理論というのが「1枚まわし」理論です。

相撲が好きな人はピンとくると思うのですが、相撲取りの回しが何重にもなっていることから挙筋腱膜をこれにたとえたものです。

「まわし」の全部に手がかかると相手を強烈に持ち上げることができるのですが、表面の1枚だけしか手がかからないとバラバラになって伸びてしまい吊り上げる力が相手にあまり伝わりません。(最近引退した稀勢の里がよくやってました笑)

これと同じことが挙筋腱膜にも言えるのではないか、というのが私の長年の他院修正経験による推論です。

上眼瞼の手術その5 に続く

埋没法、切開法に限らず術後に二重の幅が思ったより広くなってしまった、という経験は多くの術者、そして患者さんにもあるものです。

これは前回の記事に少し書きましたが、二重の手術をすることで一過性もしくは永久的に眼瞼下垂状態が起きることが原因とかんがえられます。

埋没法、切開法に限らず二重の手術をすることは多かれ少なかれ開瞼に負担をかけることになるので、術前に一見眼瞼下垂ではない患者さんでも目力に余裕がない場合、二重手術をすると容易に眼瞼下垂状態になります。

一般的に二重の術後、患者さんが一番不安に思い、術後検診で術者に尋ねることが多いのはこの点です。

「一体いつになったらこの腫れがおさまって二重の幅がせまくなるんですか?」

正直にいうと挙筋腱膜を無視した切開二重術では、2週間でよくなるのか3か月かかってしまうのかわからないのです。

これではダウンタイムに限りがある患者さんは困ってしまうし、術者も不安を抱えたまま患者さんに対応しなければいけないのでストレスです。

埋没法だと、開瞼への負担はそれほど大きくないのでよほど幅広にしない限り下垂状態は一過性で2週間もあれば完成に近づくし、最悪糸抜去という手もあります。

しかし切開法はそういうわけにはいかないので困ってしまいます。

ここに切開二重に挙筋腱膜の処理をルーチンにする理由があるのです。

上眼瞼の手術 その4~

前回いきなり上眼瞼挙筋腱膜の話から始めてしまいましたが、なぜ上眼瞼挙筋腱膜が重要なのか。

しかも眼瞼下垂手術ならともかく なぜ美容外科における二重切開術でもこれが重要であるかを説明しないといけませんね。

美容外科の患者さんで上瞼の一番の関心ごとは「二重」です。

もっと言えば「二重の幅」、さらに正確に言うならば「見かけ上の二重の幅」です。

ここで「見かけ上の二重の幅」は二重の折り返しの位置だけで決まらない、ということを理解すると話がスムースです。

もう一つ理解が必要なことは、見かけ上の二重の幅は固定したものではない、ということです。

これは、目を大きく開けてみる 上目遣いにしてみる 下目遣いにしてみる 眠たそうにしてみる ということで二重の幅が自由に変えられる、ということで分かります。

目を大きく開けると二重の幅は狭くなります。わざと眠たそうに半開きにしてみると二重の幅は広くなりますよね。

また眉毛の位置を上げる(おでこにしわをつくる)と二重の幅が広くなります。

逆にこんなことで変わってしまう二重の幅を術後にお約束することは非常に難しいと思いませんか。

だから、巷で行われている切開二重はトラブルになりやすい、約束と違った二重幅になる、左右差が出る、という結果が起こりうるのです。

この不安定要素をできるだけ取り除き結果を安定させる、約束した幅を早い段階で実現させる、これが切開二重の大きな命題になります。

その一つとして、挙筋腱膜をしっかり同定しこの処理を適切に行うことで瞼の開瞼力(俗にいう目力)を一定にし二重幅の調整をしやすくする、ということが重要になるわけです。

一般の美容クリニックで、切開二重で苦労している先生方はとても多いと思います。そういったクリニックでは、二重のラインの皮膚を瞼板に癒着させて二重にする、ということを行っているところが多いと思います。

癒着などという神様でしかわからない現象を頼りに、しかも開瞼力が術後に落ちてしまう可能性がある瞼板癒着法は出来上がりが神様しかわからない、つまり何のお約束もできない手術になりかねない、と思うのです。

上眼瞼の手術その3へ

前回の記事に書きましたが、しばらくは「医者の父から・・・」の続編のネタになるような記事を書いていきます。形成外科のトレーニングを終えてそろそろ美容外科にという医者に手術方法を伝えるという形ですが、患者さんが読んでも興味がわくような内容にしていきたいと思います。

教科書的なことは文字通り教科書を読めばいいと思うので、もっと日常の診療に近いことを中心にした内容になります。

上眼瞼(うわまぶた)の基本

大事なことは「1に解剖、2に解剖」です。残念ながら医学部の講義で習った「系統解剖学」があまり役に立たないことは形成外科トレーニングでも痛感したと思います。

中でも上眼瞼で一番大事なのは「上眼瞼挙筋」、これは形成外科でも美容外科でも同じです。

他院修正術となれば、まずは上眼瞼挙筋を同定することが第1です。もっと言えば上眼瞼挙筋腱膜です。これが見つけられずに修正手術はできません。

ただいきなり上眼瞼挙筋腱膜を見つけられるとは限らない(それぐらい解剖学的構造がめちゃくちゃになっている場合が多いです)ので、まずは眼窩脂肪を捜しましょう。

眼窩脂肪は隔膜前脂肪と紛らわしいケースもあるから気を付けないといけないですが、ここにこそ形成外科トレーニングをしていて本当によかったな、と思う瞬間です。

形成外科では、眼瞼下垂手術はありふれた手術ですから、美容外科でもまずは皮膚切開→眼輪筋切除→隔膜→眼窩脂肪→挙筋腱膜とたどっていけばいいわけです。

形成外科トレーニング経験のない医師は本当につらい所だと思いますね。

上眼瞼の手術その2~に続く

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