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本当のカウンセリングが難しい理由のその2です。

最近は美容皮膚科全盛で、手術だけで美容外科を開業するドクターは少なくなりました。

しかし中にはいわゆる「肉食系美容外科医」というのもいて、とにかく手術が好きで誰よりもたくさん手術をしたい、というドクターがいます。

この手の肉食系美容外科医がすべて手術がうまいとはかぎりません。

むしろやや手術が乱暴なドクターが多いような気がします。手術は質より数だというのがそういったドクターの信条だからでしょうか・・またそうじゃなければたくさん手術できません。

そういったドクターに、本来のカウンセリングを期待するのは難しいと思います。

そのドクターのやりたい手術をぐいぐいとすすめてきますし、検診でも患者さんの言うことはあまり聞かないことが多いようです。

前回「手術請負美容外科医」が出てきましたが、今回のドクターは「手術押売美容外科医」とでも名付けられるかもしれません。

いずれにしても、患者さんの本当の希望をお聞きして客観的にベストと思われる治療を提案することの難しさ、またそれを客観的に検証することの苦しさは美容外科医が毎日直面する課題になります。

その対処法は、それぞれの美容外科医が考えて自分のスタイルを確立していくことが必要になりますが、今まで書いてきたようにカウンセリングはクリニック経営と密接に関係していることが多いので、自分自身が経営最終責任者にならなければ本当の意味でのスタイル確立は難しいと思われます。

なぜ美容外科でカウンセリングと検診が軽視されやすくなるのか、あるいは重要だとわかっていても時間が取れない、のはなぜか。

今回も主に形成外科専門医を持っていてこれから美容外科で独立しようと思っているドクターに向けて書きます。

これは美容外科医療の構造的な問題で、従来からカウンセリングや検診に費用が掛からないのが普通になっているからです。

逆にカウンセリング費用はきちんといただいて「しっかりしたカウンセリングをしていますアピール」をするところもありますが、内容が5分10分だと患者さんにとってはますますカウンセリングにお金を払うのが嫌になります。

無料術前カウンセリングは患者さんから見ると費用がかからないので気軽に受けてみようということになりますが、我々からすると何人来てもらっても売り上げにならない、ということになります。

また術後検診についても同じことがいえますが、本当に経過良好だと時間は数分で十分なことが多くそこがカウンセリングと違うところです。ですから検診料を取るところは本当にまれです(八事石坂クリニックも検診料は取りません)。それよりも患者さんに対して術後来院のハードルを上げないという意味では無料のほうがいいとさえ思うこともあります。

いずれにしても限られた時間で売り上げを上げるには、この二つはできるだけ手短に済ませ最も売り上げにつながる手術を増やすことが大事で、それがクリニックの経営安定にもつながります。

そうすると必然的にカウンセリングの内容は、「手術前提」もしくは「術前説明」になってしまうわけです。

もっと極端に言うと、「本当のカウンセリング」をすると患者さんの意にそぐわない内容もお話ししなければいけない場合もあり、患者さんの手術に対する意欲をそぐことになりかねません。

つまりそういったカウンセリングは、売り上げに寄与しないどころかかえってマイナスになってしまう恐れがあります。

美容外科医になりたての頃は、希望に燃え熱心に患者さんの本当の希望を聞き出しそれ対してベストと思うことをお話する若いドクターもいますが、じきに手術の成約率のあまりの低さにボー然として「カウンセリングでは余計なことは言わないほうがいい」ということを学習していきます。

ここに立派な「手術請負美容外科医」の誕生を見ることになるわけです。

患者さんの希望した手術を黙ってお引き受けする「手術請負美容外科医」に本来のカウンセリングを期待することは無理です。

本来のカウンセリングが難しいもう一つの理由は次回書きます。

検診をしっかりしていて、それをカウンセリングにも生かしているクリニックが本来のカウンセリングができているクリニックと考えています。

今回は患者さんがそういったクリニックを見抜く方法についてです。

逆にそういったカウンセリングをしていないクリニックを見つけれるのはむずかしくありません。

一番簡単なのはそこのクリニックが行っている手術内容と件数です。

簡単に言うと手術をやりまくっているクリニックです。

時間のかかる手術をたくさんやってます、というドクターがいるクリニックは検診に時間をかけられません。

そういったクリニックはカウンセリング時間も短いし、検診もそこそこにしておかないと肝心な手術ができません。

面白いのは、患者さんは「症例数、日本一」とHPで堂々とうたっているクリニックのドクターは凄腕ドクターでいいクリニックと判断してしまいがちです。

冷静に考えればこれはある意味「うちは手抜きカウンセリング・手抜き検診をしていますよ」といっているようなものかもしれません笑。

人間がまともに働ける時間はドクターも同じです。その限られた時間の中で売り上げに結びつかないカウンセリングと検診を重視することなど不可能です。

もちろんクリニックも企業ですから経営努力をします。医療の質を下げないで手術数を増やす努力は必要だと思いますが、美容外科の場合それが極端な形で表れやすいのです。

その原因は二つ、詳細は次号以降で。

前回までの記事に書きましたように、本来美容外科のカウンセリングがまともに実践されることは容易なはずです。

医学的知識のない患者さんでもちょっと常識を働かせれば、まともなカウンセリングかどうか簡単に判断できます。

しかし、現実はそうではないようです。

美容外科医が自分自身のカウンセリングで患者さんの希望を正しくとらえられたかどうか、それにかなった提案をできたかどうか、その結果手術で実際に患者さんの希望を実現できたかどうか、そしてそれを次のカウンセリングにフィードバックできたかどうか。

それらの繰り返しでしか本当のカウンセリングを身に着けることはできません。

そのために一番重要なのは術後の検診です。

患者さんの術後の訴えを素直に聞く、ということですが、これは一見簡単そうでなかなか難しくつらいことです。

はじめのうちはいつも患者さんが術後にいい評価をしてくれるとはかぎりません。

まともに聞いていたらメンタルがやられてしまうかもしれません。

美容外科医の中には「検診は文句を言われることと割り切って聞き流すことにしている」というドクターもいます。

それでもちゃんと検診しているだけ「まし」ですが、中には検診は無駄と割り切ってドクターは術後に顔を出さない、というクリニックもあります。

しかしこれでは自分の行った手術が、患者さんの希望を正しくとらえ、それをかなえることができたかどうかわかるはずもありません。

また以前に自著の中でも書きましたが、検診料をとっているクリニックは少なくしたがって検診は経営的にも時間の無駄です。

私もほかの美容クリニックの勤務医だったころそうであったように、術後検診はすればするほどメンタルはやられるは、時間の無駄、で美容外科医にとっていいことはないと思っていました。

手術の知識は成書や学会で得ることもできるし、また同僚の仲間に相談したりすれば情報も得られます。それで十分じゃないかと考えてました。

ただ、八事石坂クリニック開業後改めて考えなおし、美容外科の手術の本来の目的~どんな形にしろ「術後の患者さんの満足」を仕事の使命にするのであれば、それを受けたことのある患者さんの言葉ほど的確なものはないはずだ、という考えに達しました。

確かに検診をしっかりすると、時間を取られ経営も苦しくなり、メンタルがやられることも度々ありましたが、今になって思うとこのやり方が「王道」だったなと確信しています。

これは成書には書いてないことなのです。

日本の美容外科クリニックの中で、うちのクリニックが一番検診に力を入れていると自負できるし、ほかのクリニックはまねできない、と確信しています。

では患者さんから見て、こういったクリニックをどうやって見抜くか、それを次回に書きます。

症例2について

小顔希望であらゆる顔面の骨切りをしたにもかかわらず、小顔になるどころか以前よりも顔が大きくみえるようになってしまった、という患者さんです。

私の意見は、骨切りの対象を顔面の輪郭から出っ張ている部分にかぎれば効果的な小顔手術になるというものです。

頬骨が出っ張ている、えらが出っ張ている、頤が出っ張ている、などが骨切りの良い対象になります。

ところが出っ張ていない骨格に対して小顔にするために骨切りすると効果が出ないどころかかえって輪郭がぼやけて顔が大きく見えるようになる可能性があります。

これは常識的に考えてみていただければ患者さんでもご理解できると思います。

要するに、骨切りは輪郭を滑らかにすることで小顔効果が得られるのであって、元々輪郭がスムースな患者さんに骨切りの適応は乏しいと考えられます。

症例1 症例2のケースから、カウンセリングの重要性はわかっていただけたと思います。

しかし内容的にそれほど難しいものではありません、常識的な範囲で実践できるものがほとんどです。

ではこういったケースが生じてしまう理由は何か、常識が働かないのはなぜかを次回考えましょう。

 

鼻尖縮小の症例の続きになります。

鼻尖の手術の具体的なことは鼻の項目の記事で詳しく書きたいと思っています。

カウンセリングで重要なことは、患者さんの希望が「鼻先を細くしたい」、であってもちゃんと鼻先の位置・高さ・形を鼻全体の中で適切かどうか、顔の中でのバランスがどうか、をチェックすることです。

美容外科に診断はない、という先人の発言があったことを以前の記事で書きましたが、それは現状の美容外科の惨状をよく表していると思います。

具体的には、鼻先がすっきり見えない場合に一番多いのは鼻先の高さが足りない場合です。

もちろん絶対的な高さではなく相対的な高さです。

簡単に言えば鼻先の高さ(プロジェクション)が十分であれば鼻先はすっきり見えやすくなります。

ここでの問題は3つ

一つは、手術で鼻先の「高さを出す」こととその「高さを維持する」ことの難しさです。

基本的に日本人の鼻翼軟骨内側脚は貧弱な場合が多くて、それだけで鼻先の高さを高くして維持することが不可能なので必然的に軟骨移植が必要になります。しかもかなり強固な支持が必要になります。

もう一つは、高さを出すことで鼻先が目立ちすぎる(バランスが崩れる)ことです。

それを目立たないようにするためには鼻全体と前額・頬など上顔面2/3を前方に出すことが必要になります。(美容外科手術の大原則:狭い範囲で変化を出そうとするといわゆる整形っぽい顔になる、がここでもいえます)

最後に元々鼻尖の高さがあるのに鼻がすっきり見えない場合、実はこれが一番難しいケースになります。

軟骨や鼻骨などのいわゆるフレームだけの手術では難しい場合が多くて、場合によっては鼻尖のやや頭側の皮膚の切除が必要になる場合があります。

しかしこれは顔の最も目立つところに縦に直線的な傷ができますので、最終手段になります。

鼻尖の高さの評価が終われば次はその位置と形になります。特に鼻先の位置の評価は鼻全体の印象、ひいては顔の印象を決める最も重要な因子になります。

術者のセンスが一番問われるところです。

なぜかというと、ある程度は計測によって鼻先の高さと位置は計算で出せますが、鼻先の位置は患者さんの性別や年齢、その時の流行り、患者さんの好み、患者さんの職業などいろいろ考慮する必要があるからです。

私の場合、患者さんが女性である程度容姿が重要な仕事であれば、鼻先をすっきりしたいという目的のためにややアップノーズ気味にします。

ここもかなり難しいとこですが、鼻先を下げ気味にしたときの一番の問題は笑った時に小鼻が挙上されて鼻先が思った以上に垂れて見えるようになり、印象としては顔がかわいくなくなってしまうからです。

術直後は患者さんもあまり笑顔は作れませんが、しばらくして日常生活にもどり自分の笑顔を見るようになって初めて気づくことが多いようです。

余談ですが、術後の検診をきちんとすることで、こういった患者さんの正直な話が聞けるので我々はそこから学ぶことがとても多いと感じます。

顔で最も重要な要素である鼻先について、すっきり見せるにはこれだけのことをカウンセリングで判断して、しかも綿密な検診をすることで常に自分のセンスにフィードバックしていくことが必要だと考えます。

次回はもう一つの症例、小顔についてのカウンセリングの詳細です。

前回の続きです。

まず例1について

鼻先を細くしたかったので鼻尖縮小をしたのに何も変わらなかった、という症例です。

もちろん患者さんの鼻の状況による部分もありますが、多くの相談内容から共通していることを中心に考えていきましょう。

小顔のところでもお話ししますが、美容外科手術は「演出」です。

どう見えるか、が重要です。物理的にどうこう、ということも重要ですがそれは手段にすぎません。

たとえば物理的に鼻先を細くするということは、10mm幅のところを8mm幅にする、ということです。

それは大事なことですが、だからといって鼻先が細く見えるようになるとは限らないということです。

この「物理的に細くする」ということと「鼻先が細く見える」ということは、密接に関係しているけれど、イコールではない、ということがわかるようになると美容外科医としてレベルアップできます。

鼻先、さらに鼻全体を見たときにすっきり感があり、鼻先の丸さが気にならない鼻にするにはどうしたらいいか、と考えれれば鼻に対する見方が全く変わってきます。

その目をもって、鼻先の高さ・位置・かたちを見ると必ず何かに問題があることがわかります。

それを適正化していくことを目標に手術を考えていくとその結果すっきりした鼻先が得られます。

まず鼻先の高さを考えます。以下次号へ

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