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去年の6月から、次の「美容外科医へ向けての本~続編(仮題)」の原稿下書きとしてこのブログを使って書いています。

本格的に本にするときにはもっと絵や写真を使わないといけないと思っていますが、今の時点ではそこまで手が回らず文を書くだけで精一杯なのが現状です。

早いもので86話になりましたが、たまには違った話題も書いていきたいと思います。

そうはいっても美容に関連する話題にはなりますね笑。

たまに映画を見る機会がありますが、素晴らしい映画って見終わったときに何の違和感も疲労感も感じさせません。

カスのような映画を見たときの後悔が全くないのです。

見終わったときの満腹感がなく心地がいいので、たとえその内容が難解であろうがグロかろうが、もう一回見てみようと思います。

私は気に入った映画は、冗談抜きで何十回(中には100回以上のものもあります)も見ます。

素晴らしい映画は毎回見るたびに新しい発見があります。

そういった映画ができる過程を知れば(その膨大な時間と労力、すべての素材の集中・集積具合など)、それは当然そうなるはずです。

しかし、実際の作品には一見しただけではその裏側にある「大変さ」はみじんも感じさせませんし、むしろだからこそ素晴らしいと感じてしまいます。

美容外科の手術もかくあるべきだと思うのです。

鼻先一つとっても、どれだけ時間をかけてもその影響の大きさを考えると時間のかけすぎはありえません。

しかも出来上がった鼻先にはそれをみじんも感じさせないほどの「自然さ」がにじみ出てないといけない。

そんな経験をすると、映画監督の作品にかける思いが痛いほどわかるようになって、また映画の見方が変わってきてとても楽しい気分になります。

鼻の修正手術で書いておかないといけないことは多数あるのですが、中でも最も重要なことを2,3あげておきます。

具体的にいうと、鼻中隔延長術そのものの修正は最も困難な手術になります。

自分自身が初回手術をしていれば問題がありませんが、他医の修正はできれば避けたいところです。

もちろん初回の術者の技量によるとは思いますが、今までかなりの症例数を経験して思うことは間違いなく全例肋軟骨による修正手術になります。

鼻中隔への移植軟骨として人工物や保存軟骨が用いられていたらさらに要注意です。

あとは鼻腔内の傷の状態が汚い症例は要注意です。

その場合必ず鼻翼軟骨の損傷がみられます、それも半端ない程度の損傷がみられることが多いので要注意です。

あと最近経験した症例ですが、過去に耳鼻科で「鼻中隔湾曲症」などで鼻中隔軟骨を取られたことがある場合です。

こういった症例も必ず肋軟骨が必要になりますが、それを固定する固定源にかなり苦労することが多く、ほとんどが「超難問」手術になります。

どうしてもこういった患者さんの手術を引き受ける場合は、鼻の手術に習熟した専門医の先生がいる(日本だと3~4か所)クリニックで働いている場合を除けば、よほど注意して手術に臨む必要があります。

また、自らがこのような修正患者さんを作ってしまわないように、初回手術は細心の注意を払って鼻の手術を行うようにしてほしいものです。

鼻の手術については書きだすときりがありませんのでこのあたりでいったん終了して、次回からは我々のクリニックで瞼・鼻の手術に次いで多いフェイスリフトについて書いていきます。

鼻修正手術でもう一つ大事な点は、なぜその患者さんが修正をしようと思ったのか、です。

手術を受けることそのものが目的の患者さんも中にはいるでしょうが、普通に考えて手術を好んでする人はあまりいないはずです。

それにも関わらず、2回3回、ばあいによっては4回目5回目の修正手術を希望して相談に来られる患者さんもいます。

それには必ず根深い理由があるはずです。

手術を引き受ける前にそれを粘り強く聞きだすことを怠ってはいけません。

それに関連して言うならば、私の経験でいうと3回カウンセリングをしてそれでも患者さんの要望の背景がわからなかったら手術は引き受けない方がいいということです。

理解不能の理由で修正手術を希望する患者さんが再度手術をして術後の結果に満足する可能性は極めて低いからです。

美容外科の手術は、術後結果に患者さんが満足していただくことが第一です。

決してあいまいな状態で手術を引き受けることは慎んだ方が身のためです。

私の過去の苦い経験を言えば、ある患者さんで1年がかりで4回カウンセリングをして最後にとうとう押し切られた格好で手術を引き受けさせられたのですが、案の定術後の結果に非常に不満でした。

その患者さんの術前の言葉が今でも耳に残っています。

「先生!そんなに心配しなくても大丈夫です、私はそんなにややこしい患者ではないから安心して手術を引き受けてください!」

その時の私はまだまだ甘かったと反省しています。

どうか、これから美容外科手術を始める医師が同じような口惜しい思いをいたしませんように。そして術後結果に不満な患者さんが少しでも減ることを祈っています。

今回は鼻の修正術についてです。

美容外科研修を始めたばかりで鼻の修正手術をすることはまずないとは思いますが。

クリニックによっては他院修正手術が非常に多い場合もありますので知っておいても損にはならないでしょう。

修正手術を考えるときに一番大事なのは、過去にどんな手術を受けてきたかを細かく聞き出すことです。

場合によっては前医から手術記事を取り寄せてもらって手術に関する情報を集めることです。

これを怠るとあらゆる「つけ」が自身に回ってきて術中に立ち往生する羽目になります。

場合によっては3DCTなどが必要になることもあります。

修正手術を引き受ける以上は、準備をしすぎることはないぐらいに思っていた方が無難です。

これを拒否する患者さんの修正手術を容易に引き受けてはいけません。

なぜならあなた自身の美容外科医としての生命がかかっている場合があるからです。

それぐらい鼻の修正手術は難しいものです。

もちろん前回の手術の内容・回数・医師の技量・術後経過で内容はかわってくるとは思いますが。

もう一つ術前に患者さんに聞き出しておく必要のある事項があります。

それについては次号で。

 

鼻の手術のポイントを整理します。

これはあくまで形成外科研修を終了した後に美容外科研修を始めようと思っている医師にむけて書いています。

最低限、鼻の手術で患者さんとのトラブルを避けるためのポイントとして読んでいただければ幸いです。

まずは鼻の手術は請負ではうまくいかない、ということです。

それほど患者さんの希望している手術とその結果にギャップがあるというのが鼻の手術の特徴です。

特に鼻の手術を顔全体の中でのバランスで考える場合に、患者さんの希望している手術は必要かもしれないが、十分ではないことがほとんどです。

術者は、患者さんの要望を聞くことは重要ですが、自分なりの見解(必要と思われる手術)を持つ必要があります。

もう一つ重要なポイントは、自分の手術が鼻に対してどのような変化を起こすかを知ること、逆に術前に考えている変化を手術でほぼ確実に実現できるようにすること、です。

これには自分が行った手術の経過を注意深く観察する態度が必要です。

それらを踏まえたうえで、これまでに書いてきた鼻先から鼻根部 鼻背、小鼻の手術で気を付けるべき点を頭に入れて手術をすれば、少なくとも患者さんと術後にトラブルになる可能性は極めて低いと断言できます(これは私自身の過去20年間の鼻の手術経験を根拠にしています)。

次回は鼻の修正手術についてです。

鼻の手術の話がとても長くなりました。

最後に「骨切り幅寄せ術」の話をして鼻の手術の話を終了したいと思います。

鼻根部から鼻尖上部までのラインを決める上で、高さを出さずにあるいはほとんど変えないで(プロテーゼ、軟骨などいずれも使用せずに)鼻筋をシャープにする方法として鼻骨骨切り幅寄せ術があります。

西洋人のような鼻が大きくハンプがある患者さんでは、同時にリダクションも行われむしろこちらの方がメインになります。

日本人の場合そこまで小さくする患者さんは少ないのですが、最近はあまり目立たないですっきりした鼻にしたいという要望が多いので骨切り幅寄せ術の適応になる患者さんが増えています。

骨切り幅寄せをした術後の患者さんを拝見すると、プロテーゼを使用しなくてもそれとなく鼻筋がはっきりして好ましい顔貌になることが多いようです。

具体的な手術方法を中心に書いていきます。

外側骨切り術には教科書的に経皮的骨切りと鼻腔内骨切りの方法があります。

経皮的骨切りは鼻周囲に2mmほどの傷が2~3か所つくことが欠点です(ほとんどすぐに目立たなくなります、これがクレームになった症例は今のところ皆無です)。

メリットは、骨粘膜の損傷が少ないことと骨切りラインをコントロールしやすいことです。

骨粘膜の損傷は鼻出血の原因になり、術後に拘縮が生じる可能性もあります。

術後の骨片の不安定さも少ないので固定は楽ですが、逆に術後の経過でやや後戻りが多いように感じます(これは骨粘膜が損傷されにくいことによるものかもしれません)。

鼻腔内骨切りは、専用のカーブした「のみ」で骨切りをしますが、のみの先のコントロールがやや難しく、また骨粘膜の損傷も起こりやすいので術後の骨片の固定が難しくなることがあります。

逆に骨と骨粘膜が切られることが多いので術後の後戻りは少ないのではないかと思っています。

いずれにしても術後の固定が重要となる手術ですので、最初は自身が行った手術の術後経過観察を十分に行って骨片の状態や骨癒合の経過をしっかり身に着ける必要があります。

鼻の手術について長々と書いてきましたが、それだけ鼻の手術はトラブルも多く難しく感じる手術で気を付けるべきポイントがとても多いことが特徴です。

次回は鼻の手術のポイントを整理してお伝えしようと思っています。

小鼻の手術について書いています。

どうしても傷が目立ちやすい小鼻の手術はそのマイナス面を帳消しにするに余りある良好な形態を実現することが肝要です。

そうはいっても患者さんが術前に一番気にするのはやはり傷の問題です。

個人差はありますが、特にニキビ肌で脂腺の発達がいい人ほど目立ちやすい傾向にあります。

私は、患者さんにほかの患者さんの小鼻の傷の術後写真を術前にお見せすることにしています。

しかも結構ニキビ肌の傷がまあまあ目立っている方の写真をあえて見せるようにしています。

これを見たときの患者さんの反応を注意深く観察しています。

もし患者さんの傷に対する反応がこちらが予想していたよりも大きな患者さんには手術を積極的にお勧めしないようにしてます。

傷は時間経過とともに目立たなくなるものですが、特に小鼻の脇の傷はがたつきが出やすく時間とともに目立たなくなる可能性が低いものです。

いったんつけられた傷は元に戻すことはできませんのでこれくらい慎重でもいいのかなと思っています。

こんな感じで過去20年間ぐらいやってきていますので傷のことでトラブルになることはほとんどありません。

もちろん術後に患者さんが傷のことを気にした場合は、フラクショナルレーザーなどの処置をお勧めすることもありますが、それにも素直に同意していただけます。

傷の問題には特に我々と患者さんの間の信頼関係が大きくかかわっていると思います。

これで鼻の中で小鼻は終わって、最後に骨切りの話をします。

小鼻の手術にあたって、手術法をマスターすることよりもどんな小鼻がきれいなのかを知ることが重要です。

その時、漠然と見ていてもわからない場合に基準点・バランスで押さえておくポイントを前回に書きました。

この点を頭においていろいろな人の小鼻を観察してみてください。

不審に思われるといけないので会う人よりもテレビとかビデオで俳優さんとか芸人さんの小鼻を観察してみましょう。

俳優さんでも白人、黒人、東洋人もちろん日本人の小鼻を幅広く見てみましょう。

その中で「きれいだな」と思う俳優さんの小鼻に注目してみてください。

前回のバランスをクリアしている方がとても多いのに気づくと思います。

漠然と美人だなと思っていてもどこにそのポイントがあるかよくわからない場合が多いと思いますが、分析してみると隠れたポイントが必ずあります。

こういった観察をばかばかしいと思わないでください。

これが美容外科医のスキルアップにとても重要なのです。

患者さんの顔を拝見して、すぐにその顔のどこに問題があるかがわからなければ美容外科医としては失格です。

このセンスを磨かないうちに小鼻の縮小術をしてもただただ小鼻に傷をつけておしまいになります。

患者さんも気の毒ですが、こういった手術を経験された患者さんは二度と小鼻に傷をつける手術は受けたくないと思ってしまうことがわれわれ美容外科医にとって大きなダメージになってしまうのです。

小鼻の手術でACRのほかに気を付けるべき基準が「目頭間距離」です。

ACRは側面から見た小鼻の基準ですが、目頭間距離は正面から見たときの小鼻の幅の基準になります。

日本人の目頭間距離の平均は34mmでここが一つの基準になりますが、要は末広がりの鼻の印象をなくすことになります。

絶対的な小鼻の幅がそれほどでなくても、目頭間距離が短い人は小鼻の幅が気になりやすいこともあります。

もう一つの基準は、鼻翼基部の深さです。

これは上口唇との関係で、これよりも後退していると鼻翼基部が深いという判断になります。

ここが深いと小鼻の外側への張り出しが少なくなりますが、巻き込みが強くなります。

逆に浅くなると小鼻の外側への張り出しが強くなり、巻き込みが弱くなります。

なかなかイメージを患者さん伝えるのが難しいところですが、要するに鼻翼基部のくぼみが変化すると小鼻の見え方が変わるという点を知っておくことが重要です。

小鼻縮小の手術を考えるとき、まず美しい小鼻の形がどういうものかがわからなければ絶対に患者さんの満足を得ることはできません。

また患者さんにとってマイナスであるところの「目につくところの傷」を免罪してもらうこともできません。

むやみに小鼻を切り捲って小さくしても決してきれいな小鼻を作ることはできないでしょう。

まずここから勉強する必要があります。

手術を考える前に美しい小鼻の考え方を整理しておきましょう。

まず鼻孔縁の形です。

これは何を基準に考えるかというと、鼻柱・鼻先との関係でみる必要があります。

いわゆるACRです(A=小鼻、C=鼻柱、R=関係)。

ですから、小鼻を考えるときに鼻柱と鼻先の位置と形がきちんと決まっていることが大前提です。

この基準が変わってしまう恐れがある状態で小鼻はいじりようがありません。

必然的に小鼻の相談というのはACRの相談になることが多いようです。

時々患者さんで小鼻をまず小さくしたいです、とおっしゃることがありますが、こういったことを説明したうえで方針を決めることが重要です。

ACRからいうと鼻尖を先にした方がいいことを説明して、それでも小鼻を先にしたいです、ということであればそうすればいいと思います。

その場合、後日鼻尖関係の手術をして再び鼻翼の手術をしなければならなくなる可能性を説明する必要があります。

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