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先日の形成外科学会で「肝斑」のシンポジウムがありました。

この分野でご活躍の諸先生のご発表を興味深く拝聴しました。

シミの治療は、レーザー機器の発展に伴って大変な進歩を遂げました。

ところがこの「肝斑」についてはその原因がいまだにはっきりしない部分があり、皮膚科や形成外科の先生の頭を悩ます疾患の一つとなっています。

そんな中でこの「肝斑」に効くレーザーということで登場したのが「レーザートーニング」だったのです。

それまで「肝斑」にはレーザー治療は「禁忌」とされ、内服薬や塗り薬しか有効なものはないとされていました。

私自身、過去13年間のあいだ肝斑を含めたしみの治療を大学病院と自分のクリニックでおこなってきましたが、「肝斑」の治療の難しさは痛感してきました。

そんななかで「レーザートーニング」という治療に出会ったことは、肝斑を含めたシミ治療の考え方が180度変わったきっかけになったといっても言い過ぎではないというのが私の正直な思いです。

ただし、レーザートーニング治療によって肝斑がなおってしまうという誤解が患者さんだけでなく一部の医師の間にもあることが、時に悲劇を生むことになるようです。

もちろん患者さんに罪があるわけでなく、ひとえに勉強不足の医師に責任があると思います。

レーザー治療を含めた器械による治療はもともと安定した結果を出しやすい治療ですが、肝斑がベースにある患者さんにレーザートーニングを照射する場合はそれなりの知識と観察眼が必要となります。

レーザートーニングの治療は、肝斑という病態を治すのではなく、肝斑がベースにある患者さんでも安全に照射できる可能性が高い治療である、と考えるべきで、レーザーそのものはメラニン色素とメラニン産生細胞に作用するだけであるという原則を忘れないことが重要です。

今年もあと3週間足らず。

ここ1年を振り返って思うのは、美容治療の変化の驚くべき速さです。

美肌治療を考えてみても、4年前の開業時と今では大きく変わりました。

その主なものは、「レーザートーニング」の導入です。

4年前といえば「光治療」(うちのクリニックでは「ライムライト」)が人気の機種でした。

もちろん今でも光治療の人気は衰えていませんが、それ以上にレーザートーニングをご希望される患者さんが増えました。

医学的にいえば、レーザートーニングは光治療に置き換わるものではなく、作用する深さがそれぞれ違うので患者さんのシミくすみの深さに応じて使い分けあるいは併用できる治療だと思います。

また、うちのクリニックでは当初切らないたるみ治療といえば「サーマクール」と「タイタン」でしたが、今年はもう少し侵襲があっても効果の高いものをご希望される患者さんのために「アキュスカルプ」が導入されました。

もともとしみ・くすみの治療にくらべると客観的効果のわかりにくい「たるみ治療」ですが、切らなくてもたるみ改善効果がわかる器械がどんどん登場してきています。

アキュスカルプのようなレーザー治療、超音波をフォーカスして熱凝固することでたるみを改善する器械、マイクロニードルを肌に刺入してそこから高周波を発生することでたるみを改善する器械など、こちらもその流れについていくのがやっとというぐらいいろいろなものがあります。

来年はその傾向がますます激化していくような予感がしています。

一方「サーマクール」などの従来からあるたるみ治療器は登場してから10年以上のロングセラーで、今までの実績やデータの蓄積に裏付けられた信頼性・安全性は捨てがたいものがあり、人気は衰えることはないと思います。

10~15年前には夢物語と思われてきた「低侵襲で効果のあるアンチエイジング治療」が実現間近といえそうです。

 

レーザートーニングについて、もうちょっと書きます。

レーザートーニングで用いられる器械はmedlite C6(QスイッチNdYAGレーザー)といわれるもので、このレーザーには1台で2波長(532nmと1064nm)に切り替えられる装置がついています。

レーザートーニングでは1064nmのほうを用います。

1064nm(長波長)を用いることでレーザーのエネルギーが深部に到達します。

そうすると通常表皮の深いところに存在しているメラノサイト(メラニンをつくる細胞)にもレーザーのエネルギーが届くようになります。

これによってメラノサイトを減らすことができれば、メラニン色素ができにくくなるわけですから、日焼けをしにくくなる、ということを以前の記事にも書きました。記事はこちら

一方浅いところに存在することの多い老人性色素斑(いわゆるしみ)には、532nmの短波長を使用します。

これはメラニン色素を直接破壊します。しかしそれによって起きる炎症後の色素沈着(レーザー後色素沈着)が問題になります。よく「戻りしみ」といわれます(しみではなく簡単にいえば「レーザー焼け」です)が、しみの治療でもっとも難しい問題がこれです。

しかしよく考えてみるとこのレーザー後の色素沈着もメラノサイトが作っています。

だとすると・・・、老人性色素斑の治療には、前もってレーザートーニングをしておいて(メラノサイトを減らしておいて)そのあとに532nmで色素斑の治療をすれば・・・、レーザー後の色素沈着が起こりにくいのではないか・・、と考えてもいいですよね。

たしかに実際この二つの波長を併用しながら色素斑の治療をするといわゆる「戻りしみ」が起きにくい印象があります。

こじつけかもしれませんが・・、理論的にはあっています。

(もし同業者の方で、このような治療をされている、あるいは文献にすでに発表されているのをご存じの方がおられましたらご一報ください。)

いずれにしても器械そのものはそれほど新しいものではないYAGレーザーですが、使いようによってはあたらしい治療の可能性を秘めていることにとても興味を感じます。

古いものの「再定義」(ちょっとおおげさかもしれませんが)ほど、わくわくさせられるものはありません。たのしいですね。

しみの治療の難しさについてです。

ご存じのように、しみの部分はまわりよりメラニン色素が増えて目だっています。したがってこのメラニン色素を減らしてまわりから目立たなくすることが治療になります。

黄色人種の肌にはもともとメラニン色素があり白色人種のそれよりも多いのが普通です。したがってしみ以外の部分にもメラニンは適度にあるわけです。

しみの部分はメラニン色素の量がコントロールされていないとも考えられます。

ここにレーザーをあてるとメラニン色素は吹っ飛びます。もし仮にこのままだったとするとそこにはメラニンがなくなってしまうことになります。

メラニンがないと肌の透明度が増すので真皮の毛細血管網が透けて見えることになりピンク色にみえます。気温が高い場合には毛細血管が拡張してそこが赤く見えることすらあります。

メラニンをゼロにしてしまうとそこがかえって赤く目立つようになる、ということになります。

結局しみの治療は、しみの部分とそれ以外の部分の色調の差をなくすことであり、メラニンをゼロにすることではないと理解できます。

レーザーでメラニンがなくなった部分に適量のメラニンがもどってきてくれればいいのですが、それがとても難しいのです。なぜならしみのできた部分はもともとメラニンのコントロール機能が破壊されているわけですから。

美容皮膚科を含めた美容外科治療のなかで、意外に難しいものに「しみ治療」があります。

その上にこの難易度に対する意識が患者さんとわれわれとでギャップが大きいのも「しみ治療」の特徴だと思います。

レーザーをあてればしみはすべて消える、と簡単に考えるのが患者さんです。

美容外科医はもちろん美容皮膚科医ですら「私はしみ治療には自信があります」とおっしゃってくれるドクターが少ないのは、このあたりのことが原因ではないでしょうか。

今までに何軒もクリニックをはしごしていろいろなレーザーを当ててきたのに治らないというケース、結構あると思います。おまけに最後は「これ以上はレーザーをあてられません」といわれて強制終了させられた、というのでははなから治療になっていないと言わざるをえません。

美容治療の中で「しみ治療」はどちらかというと安価なので、患者さん側にも医療側にも、結果が出なくても「まあ、こんなものか」という妥協?があるかもしれません(以前にもかきましたが、保険でやっている違法クリニックもあります。)

したがって医療側に「このしみを絶対に治さなければ・・」というプレッシャーがかかりにくいのも治療成績があがらない原因かもしれません。

しみ治療も重要な美容医療と考えていますが、患者さんにとってしみ治療を考える前にこういった事情があることを知っておいても損はないと思います。

先日の診察室でのやりとり。

70代の患者さんAさん:「先生のところの「光治療」、全然しみが消えなかったよ!!。もう一回ただでやりなさい!!」とえらい剣幕で怒られてしまいました。

1か月前に、確かにAさんの顔の大きなシミにアキュチップ(光治療器)を照射しました。

ダウンタイムが短い治療をお望みでしたので、もちろん1回でしみが取れる治療ではないことを重ね重ねせつめいし納得していただいてから光治療をいたしました。その点はなんの問題もなく患者さんの誤解でしたので、もう一度説明しなおして納得してもらいました。

しかしその次の訴えには、聞き捨てならない事実が含まれていました。

Aさん:「私の友達、岐阜のクリニックで保険で安くシミを消してもらった。先生のところは自費で1万円もとってこんな結果で、私はかもられた!!」とおっしゃったのです。

うーん、これはいけません。

「しみ=老人性色素斑」を保険で治療しているクリニックがいまだに存在していることにあきれました。そもそも保険点数には「老人性色素斑にレーザー治療」の項目はありません。虚偽の病名をつけないと保険請求できないのです。これでは明らかに保険詐欺になってしまいます。

つい今年の初めに関東の美容外科医が虚偽の保険請求(やはりレーザー治療費の請求がメイン)で逮捕されたばかりです。

私は、美容医療は自費が基本であると以前から考えています。したがって今のクリニックでは一切保険治療をおこなっていませんしする予定もありません。

前回、美容外科の「理想と現実」についてちょっと書きました。

何となく書き足りないので、その続編です。

私が考える美容外科の理想とは・・・・。

理想の美容医療とは、その医療を受けた患者さんが全て納得できるもの、と考えています。

理想の美容医療とは、すべての患者さんが納得できる医療、ではありません。

具体的にいえば、「この美肌器械で、シミは消えますよ」は後者。「あなたのシミを消すためには、この美肌器械が有用なことがありますよ」は前者。

さらに「この鼻尖縮小の手術で、鼻先は細くなりますよ」は後者。「あなたの鼻先を細くするには、少なくとも鼻尖縮小は必要ですよ」は前者。

さらに「脂肪吸引術で、痩せられます」は後者。「あなたが痩せようと思うと、この部分は脂肪吸引が有効ですよ」は前者。

では理想の美容医療を実践していくのはなぜ難しいのか、は次号にかきます。

昨日、横浜で「美容抗加齢医学会」にいってきました。こじんまりした学会でしたが、内容は充実していました。

最初のパネルは「肝斑」がテーマ。

自分が愛知医大でおこなっている「肝斑」の治療・考え方と、ほぼ一緒の見解でした。ベースは飲み薬で、それに塗り薬を併用し、肝斑以外の色素斑に「光治療」あるいは「Qスイッチルビー」などを照射するというものです。

ただ最近の考え方として肝斑そのものにもレーザーを使用していくこともある、というところが新しい見解でした。このときも積極的に「メラニン」をターゲットにしてレーザーを当てるのではなく1064nm、640nmなど少しメラニンから外した波長でしかも弱いパワーでうっていくなどの工夫がいるということです。なるほど。

トラネキサム酸の作用機序についてはかなり詳しいことを説明されました。「トランサミン」は作用するところが「メラニン」の合成段階の上位の反応を阻害することでメラニンを減らす、ということです。そう言われると、たしかに「トランサミン」の効果が非常に強いことと肝斑に特有に効果を発揮することがなぜだろうと思っていましたが、これが一気に解決されました。

トランサミンは抗プラスミン効果がありますが、このプラスミンがメラノサイトの重要な活性因子であることから、肝斑に効果があることに結びつくようです。一方、こうじ酸、ルシノール、アルブチンなどはこの合成段階の下位を阻害するため効果が限られています。これらの併用は有効で、なぜならメラニン合成にはいろいろなチャンネルがあってこれらがそれぞれを阻害するからです。

しかし肝斑で一番肝心な「その原因はなにか?」がいまだにはっきりしないのが現状で、これには基礎医学的アプローチが必要になりまだまだ時間がかかりそうです。

シミの治療に携わってかれこれ10年近くになりますが、外来診療で患者さんにシミの治療を説明するときに二つの理論、「下りのエスカレーター理論」と「100点満点理論」をよく使っています。

「下りのエスカレーター理論」とは

下りのエスカレーターはじっとしていると下がって行く一方なので、その位置をキープするためには常に足を動かしている必要があります。シミ治療もアンチエイジング治療もこれと同じで、一時よくなってもその状態をキープするためには何らかの治療を続けていくことが必要です、ということがいいたい時に使っています。

もう一つの「100点満点理論」とは

たとえばフィギュアスケートが100点満点競技だとして、40点を60点にするのと、80点を100点にするにはどちらが難しいかを考えます。普通に考えれば80点を100点にする方がはるかに難しいはずです。高得点圏になればなるほど大幅な得点アップは難しいのは当たり前です。

この「理論」は、シミは治療する時最初は目にみえて良くなるのですが、その後、薄くなればなるほど、よくなればよくなるほど、さらなる治療の効果、改善をもとめることがむずかしいことを説明するときに使っています。

この二つの理論は、こうやって書くとえらくあたりまえのことのように感じますが、患者さんはいざ「ご自分の美」のことになるとこの常識がわからなくなってしまうことがあるようで・・・・。

先日、半年ぶりに顔を見せていただいた患者さんをみて驚きました。

この患者さんの初診時、一目みてそのお顔にあるシミを消すのは非常に難しいタイプの方とすぐわかりました。

とにかくトランサミンを飲んでいただいて、その後レーザー治療+トレチノインを3回しました。

レーザー治療+トレチノインの治療には一回に3か月から半年かかりますのでこれを3回すると1年から一年半かかります。

この患者さんは2回までは我慢してやってくれましたが、その結果が目を見張るほどではなかったため少しやる気がなくなったようでした。

よく話をお聞きすると、トレチノインによる反応が怖いためいままでそれほどきちっと塗らなかったとのこと。それでは何回やっても目に見張るほどの結果は出ないことをよく説明し、ラストチャンスにかけました。

3回目のレーザーとトレチノインを終了し、半年で見違えるようにきれいになっていました。1回目2回目の治療が無駄であったわけではないのですが、深くて厚いシミは治療の経過がこのように尻上がりによくなるため最初がつらいのです。

 

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