小鼻の手術について書いています。
どうしても傷が目立ちやすい小鼻の手術はそのマイナス面を帳消しにするに余りある良好な形態を実現することが肝要です。
そうはいっても患者さんが術前に一番気にするのはやはり傷の問題です。
個人差はありますが、特にニキビ肌で脂腺の発達がいい人ほど目立ちやすい傾向にあります。
私は、患者さんにほかの患者さんの小鼻の傷の術後写真を術前にお見せすることにしています。
しかも結構ニキビ肌の傷がまあまあ目立っている方の写真をあえて見せるようにしています。
これを見たときの患者さんの反応を注意深く観察しています。
もし患者さんの傷に対する反応がこちらが予想していたよりも大きな患者さんには手術を積極的にお勧めしないようにしてます。
傷は時間経過とともに目立たなくなるものですが、特に小鼻の脇の傷はがたつきが出やすく時間とともに目立たなくなる可能性が低いものです。
いったんつけられた傷は元に戻すことはできませんのでこれくらい慎重でもいいのかなと思っています。
こんな感じで過去20年間ぐらいやってきていますので傷のことでトラブルになることはほとんどありません。
もちろん術後に患者さんが傷のことを気にした場合は、フラクショナルレーザーなどの処置をお勧めすることもありますが、それにも素直に同意していただけます。
傷の問題には特に我々と患者さんの間の信頼関係が大きくかかわっていると思います。
これで鼻の中で小鼻は終わって、最後に骨切りの話をします。
小鼻の手術にあたって、手術法をマスターすることよりもどんな小鼻がきれいなのかを知ることが重要です。
その時、漠然と見ていてもわからない場合に基準点・バランスで押さえておくポイントを前回に書きました。
この点を頭においていろいろな人の小鼻を観察してみてください。
不審に思われるといけないので会う人よりもテレビとかビデオで俳優さんとか芸人さんの小鼻を観察してみましょう。
俳優さんでも白人、黒人、東洋人もちろん日本人の小鼻を幅広く見てみましょう。
その中で「きれいだな」と思う俳優さんの小鼻に注目してみてください。
前回のバランスをクリアしている方がとても多いのに気づくと思います。
漠然と美人だなと思っていてもどこにそのポイントがあるかよくわからない場合が多いと思いますが、分析してみると隠れたポイントが必ずあります。
こういった観察をばかばかしいと思わないでください。
これが美容外科医のスキルアップにとても重要なのです。
患者さんの顔を拝見して、すぐにその顔のどこに問題があるかがわからなければ美容外科医としては失格です。
このセンスを磨かないうちに小鼻の縮小術をしてもただただ小鼻に傷をつけておしまいになります。
患者さんも気の毒ですが、こういった手術を経験された患者さんは二度と小鼻に傷をつける手術は受けたくないと思ってしまうことがわれわれ美容外科医にとって大きなダメージになってしまうのです。
小鼻の手術でACRのほかに気を付けるべき基準が「目頭間距離」です。
ACRは側面から見た小鼻の基準ですが、目頭間距離は正面から見たときの小鼻の幅の基準になります。
日本人の目頭間距離の平均は34mmでここが一つの基準になりますが、要は末広がりの鼻の印象をなくすことになります。
絶対的な小鼻の幅がそれほどでなくても、目頭間距離が短い人は小鼻の幅が気になりやすいこともあります。
もう一つの基準は、鼻翼基部の深さです。
これは上口唇との関係で、これよりも後退していると鼻翼基部が深いという判断になります。
ここが深いと小鼻の外側への張り出しが少なくなりますが、巻き込みが強くなります。
逆に浅くなると小鼻の外側への張り出しが強くなり、巻き込みが弱くなります。
なかなかイメージを患者さん伝えるのが難しいところですが、要するに鼻翼基部のくぼみが変化すると小鼻の見え方が変わるという点を知っておくことが重要です。
小鼻縮小の手術を考えるとき、まず美しい小鼻の形がどういうものかがわからなければ絶対に患者さんの満足を得ることはできません。
また患者さんにとってマイナスであるところの「目につくところの傷」を免罪してもらうこともできません。
むやみに小鼻を切り捲って小さくしても決してきれいな小鼻を作ることはできないでしょう。
まずここから勉強する必要があります。
手術を考える前に美しい小鼻の考え方を整理しておきましょう。
まず鼻孔縁の形です。
これは何を基準に考えるかというと、鼻柱・鼻先との関係でみる必要があります。
いわゆるACRです(A=小鼻、C=鼻柱、R=関係)。
ですから、小鼻を考えるときに鼻柱と鼻先の位置と形がきちんと決まっていることが大前提です。
この基準が変わってしまう恐れがある状態で小鼻はいじりようがありません。
必然的に小鼻の相談というのはACRの相談になることが多いようです。
時々患者さんで小鼻をまず小さくしたいです、とおっしゃることがありますが、こういったことを説明したうえで方針を決めることが重要です。
ACRからいうと鼻尖を先にした方がいいことを説明して、それでも小鼻を先にしたいです、ということであればそうすればいいと思います。
その場合、後日鼻尖関係の手術をして再び鼻翼の手術をしなければならなくなる可能性を説明する必要があります。
形成外科研修を終了しこれから美容外科を始めようと考えている専攻医に向けて美容外科の陥りがちな落とし穴と対策のポイントを書いています。
今はずっと「鼻」について書いていますが、すでに「鼻尖」「鼻根部」「鼻背」を終了しました。
次はしばらく小鼻について書いていきます。
小鼻の要望で多いのは「縮小」です。
小鼻を大きくしてほしい、という要望はめったにありません。
実際に患者さんからお聞きするのは、笑った時に広がる小鼻を何とかしてほしいというものが圧倒的に多いようです。
あとは、小鼻の面積そのものが大きいと感じている、小鼻が厚いと感じている、小鼻が下がっているのが気になる などです。
難しいのは、これらを解決しようと思うと目につくところに傷がつく、ということを患者さんに理解していただくことです。
目につくところの傷は患者さんにとっては「マイナス」です。
しかしこれは避けられないとするとそれを上回る「プラス」を作って差し上げるほかに手はありません。
ですから、小鼻の手術で一番大事なことは、小鼻のサイズを確実に小さくすることとその形が美しくなることの両方を実現しなければなりません。
失敗例を見るとその多くの場合、サイズが小さくなっていないか、小さくなっていても不細工な小鼻になっているか、最悪その両方の場合もあります。
ダウンサイズはなんとかできても、その結果が美しいかどうか、まさにここがこの手術の生命線であります。
鼻の手術でトラブルを避けるための必須アイテムはずばり「鼻中隔延長術」(以下SEG)です。
多分多くの美容外科医が「えーっ」と思うかもしれません。
「隆鼻術」じゃないの、とか「鼻尖縮小術」「鼻翼縮小術」を考えるかもしれません。
私が書いてきた、あるいは書こうとしている記事は、あくまで実践的にトラブルを避けるための美容診療の中で必要な手術アイテムです。
SEGがなかったら、私は今のように多くの鼻の手術をしていなかったといえます。
SEGがあったから私のような小心者で臆病な美容外科医でも自信をもって鼻の手術ができるようになったのです。
SEGを知る前の私は、鼻の手術はほとんどしてませんでしたし、ひょっとしたら意識的に避けていたかもしれません。
その理由はそれまで私にとって鼻の手術は結果がどうなるかわからない手術だったからです。
結果をお約束できない手術ほど気まじめな術者を不安に陥れる手術はありません。
このことについては過去に何度も記事の中で書いてきましたが、これは強調しすぎることはないと思っています。
私の受験勉強の話のところで書いたように、一番応用範囲のひろい基本項目からマスターしていくことが効率的であるとすれば、鼻の手術ではまさにSEGがこれにあたります。
SEGがマスターできると鼻先の長さや高さを含めた位置を決めることができます。
そのうえで鼻尖縮小術を同時に行うことで鼻先の形を決めることができます。
それに伴って鼻翼をコントロールしやすくすることができます。
また口元とあごの関係(いわゆるEライン)を改善することができます。
また鼻の始まり(いわゆるナジオン)を決めることと一緒におこなえば鼻の長さを決定することができるようになります。
SEGを行うことで鼻の大部分が決まってくることが分かればいかにこの手術が重要なアイテムであるかがわかります。
鼻の手術では1にSEG、2にSEGですからこのSEGは100%成功することが求められます。
これで失敗すると後がありません。
SEGについて次回以降で詳しく書きます。
早いもので2月もあと数日をのこすのみです。
まだまだ寒い日もありますが、日に日にあたたかくなってきていることを感じます。
今年の学会予定ですが、9月の札幌の美容外科学会でビデオパネルでの発表の依頼があり、それを引き受けましたのでそれ以外の学会では発表しなくていいか・・・と思っています。
依頼演題は「小鼻」に関してです。
ちょうど自分の中でも、小鼻の手術に関して一度きちんとまとめたいと思っていたのでタイムリーな発表依頼でした。
小鼻手術の中でも「小鼻縮小術」は最もポピュラーな手術ですが、実際に手術をしていると簡単な手術でいい結果が得られるケースは少ないように思います。
その形、湾曲 外々の幅、厚み、位置(特に鼻柱との関係)などを考慮しながら手術方法を考えないと思わぬ結果になることもあります。
最近、私が行っている手術によれば、自分(術者)が考えている結果をほぼ100%具現化できると考えています。
したがって、術前に患者さんと打ち合わせする時にイメージの共有ができさえすれば、成功率の高い手術になっています。
そのあたりを今度の学会でも発表するつもりです。
鼻の手術のときに、気を付けていることを2,3あげてみます。
手術前、こういう鼻にする、といった強い具体的なイメージを思い描きながら手術に臨むようにしています。
漠然としたイメージでは、術者の心構えとしてはすこし足りないと思います。
術者に強烈な形のイメージがなければ、目標のない手術に陥るように感じます。
逆に言えば、それほどまでに思い通りにいきにくいのが鼻の手術だということでしょう。
あとは物理的な計測を頼りに鼻の手術をすることもありますが、演出するという感覚も必要なのが鼻の手術の特徴のような気がします。
たとえば鼻を小さくする手術では、物理的に小さくすることも大事ですが、小さく見せるような仕掛けを作ることも大事だと考えます。
そういった点から、鼻の手術をしていると演出家や監督になった気がすることもあります。
鼻の手術でキャスティングを考えるとき、主役は何かといえばそれは絶対に「鼻先」です。
やはり「鼻先」は鼻のなかで花形です。
鼻先が決まると鼻全体がとてもバランスよくなってきます。
鼻筋(鼻背や鼻根部)は脇役です。
ですからここが鼻先よりも目立ってはいけません。
脇役は重要ですが、あくまで鼻先を引き立てるために存在するものです。
小鼻(鼻翼)も脇役です。
脇役が重要でない、ということではありません。
脇役がなければ主役(鼻先)が生きてこないからです。
・・・そんなことを考えながら日々の「鼻の手術」に臨んでいます。
早々と1年を振り返りましたので、次は来年2015年の目標などを考えてみました。
カウンセリングについては・・・
記録の取り方が、カルテに書くだけではどうしても抜けることがあり、それを防止するために、ICレコーダーのようなものを活用して、カウンセリングの記録を完璧なものにして行きたいと思っています。
せっかく1時間近くも患者さんと話し合うわけですから、きちんとした形にして残すことを考えています。
手術については・・・
カウンセリング同様、手術記録をカルテだけでなく電子媒体を用いた完全な形で残していけたらいいなと考えています。患者さんの「マイページ」なるものをHP上に作れるようにしてそこでこれらの記録も本人だけが見られるようにできればと夢を膨らませています。
「鼻」の手術が激増していますが、手術方法・方針については今までのやり方を継続していこうと思っています。
具体的には・・・
鼻の手術で最も重要な鼻先の位置・高さを決める手術については、術中の患者さんによる確認は可能な限りやっていきます。このやりとりも動画などで残していけたらなあ、と考えています。
鼻尖縮小術・鼻中隔延長術を中心に・・・
もっとも重要な鼻尖部分の手術を中心に考えて、そこよりも頭側(上側)は「隆鼻術」「鷲鼻形成」「幅寄せ」などから必要なもの選択し、さらに頭側(上側)には「眉間プロテーゼ」もしくは「眉間軟骨移植」、さらに前額(おでこ)では「ハイドロキシアパタイトによる前額形成」をカバーしながら顔の中心線のバランスを考慮した組み合わせを提供していく予定です。
また鼻尖鼻柱よりも尾側(下側)においては、口元のバランスをみながら、「鼻下長短縮術」「口唇拳上」「口唇縮小術」「口角拳上」「鼻翼基部プロテーゼ」「顎プロテーゼ」などの手術を組み合わせて、顔の中心線の下半分のバランスをとっていきたいと考えています。
中心線のバランスが決まったところで・・・
同時あるいは2次的に鼻翼関係の手術を考えます。具体的には鼻翼縮小術(外側、内側)、鼻翼拳上術、鼻翼形成術、鼻孔縁形成術などから必要と思われる手術を鼻柱との関係を見ながら選択することになります。
鼻ばかりになりましたが、他にも眼や頬の輪郭などたくさんある手術の中から適切な組み合わせを患者さんと一緒に考えながら選択できるような診療スタイルができればいいな、と考えています。
カウンセリング・手術の待ち時間について・・・
来年も一人一人の患者さんのカウンセリングと手術には十分時間をかけていきたいと願っています。そのために新規の患者さんの予約待ちがかなり長くなってしまい(今のところ3か月ぐらいの待ち時間でなんとかやりくりしています)、今後さらに長くなる可能性があるかもしれません。
それを解消するために、今月から手術やカウンセリングのキャンセル待ち制度を始めました。少しでも待ち時間を短縮したい方は、予約時に一言おっしゃっていただければウェイティングリストに登録させていただきますので是非ご活用ください。
来年もよろしくお願いします。メリークリスマス & ハッピーニューイヤー!
小鼻を小さくする手術には、外側・内側の二つの方法があります。
患者さんに「私はどちらがいいでしょうか?」と聞かれることがあります。
小鼻自体が本当に大きい人は、外側切除をすすめています。
笑うと小鼻が横に広がることが気になる人は内側でも対応できることがあります。
外側切除の場合、傷が小鼻の外側にきます。ここは脂腺が多いので、傷が目立つことがあります。
その予防のために抜糸を少し早目にしたり、小鼻にボトックスをうって術後しばらく脂腺の活動を抑える、などで対処します。
外側切除はどちらかというとアンダーコレクションとなることが多い手術です。もちろんもともとの小鼻の大きさにもよりますが、少々切除したぐらいではそんなに変わらないという印象です。