目頭切開について
目頭切開で注意すべきこといくつかあります
まずは傷がかなり小さいので切開縫合を丁寧に行うこと、層と層をきちんと合わせるような基本的なことをしっかり行うことです。
6mm足らずの傷に7~10針入れていくことになります。
局所麻酔をするときから気を付けないといけません。
術前のデザインが局所麻酔したところで消えてしまった経験は誰でもあると思います。
局所麻酔を注入すると膨隆して正しいデザインは二度とできなくなります。
もう一つ
デザインで気を付けることは、やりすぎないことです。
目頭切開は両側で行うので、効果が倍になります。
最近は少なくなりましたが、目頭切開の修正相談は100%「やりすぎ」の修正です。
目頭切開をやりすぎると「目が寄りすぎる」と心配されるのですが、実は逆です。
目頭切開をすることで内側の白目の面積が大きくなり黒目の位置が離れて見えるようになります。
こうなるとなんとなく「宇宙人」感が出てきて気味悪がられます。
しかし適切に目頭切開をすると目元が華やかになり、二重のラインも並行になりやすくなるなど魅力の多い手術で絶対にマスターしたい手術です。
方法はシンプルな「Z形成」で十分と思います、もしこれで満足できそうにない患者さんにはよそのクリニックを紹介しましょう笑。
Z形成術で気を付けることは皮弁を入れ替えたときにできる小さなドッグイヤーで、これがどんなに小さくともきちんと処理することです。
傷の長さよりもこの小さな皮膚の膨隆が患者さんのクレームにつながりやすいのはほかの美容外科手術に共通した現象です。
ここ数週間で立て続けに「眼頭切開術」の修正希望の患者さんがカウンセリングにこられました。いずれの患者さんも「切られ過ぎてしまった」とおっしゃいます。もうすでに何回も修正手術を受けている患者さんもおられました。
以前の記事で書きましたように、目頭切開をする前に切られ過ぎを防ぐためのチェックポイントはあるのですが、とにかく控え目な手術を心がけるに尽きると思います。そのためには「皮膚切除による目頭切開術」は特に要注意です。
それでもこういった事態が避けられないのは、なぜでしょうか?
そういった患者さんにお話を伺うと、目頭切開そのものに最初から希望があった、というよりは「平行型の二重」を希望するにあたって「眼頭切開」の必要性があるために目頭切開術をうけた、という患者さんが多いように考えます。
実際、私も平行型の二重を実現するために目頭切開をすすめることがあります。もちろんその時はovercorrectionに十分に気をつけて極力控え目にデザインをします。
この場合、目頭切開術の役割は目頭側の二重のラインをコントロールするための手術、ぐらいに考えた方が適切かもしれません。
それにもかかわらず、そういった患者さんががっちり「皮膚切開による眼頭切開術」をうけてしまった場合に「悲劇」が生まれるようです。
患者さんの持参する雑誌に載っているモデルさんの目元をみると、結構しっかり眼頭のヒダがあるにもかかわらずきれいな平行型の二重になっている人がいます。またそういった目元のモデルの人が結構人気があるようで、確かにそういったモデルさんの眼は「丸く」見えて優しい印象になっています。
その「二重」がどの患者さんにも実現できるかどうかは別にして、いずれにしても西洋人顔の目元とはまったくちがった平成時代の「嗜好」がそこにあることを、我々40~50代以上のどっぷり昭和のおじさん美容外科医(私を含めて)は、肝に銘ずる必要があります。
目頭切開術にはいろいろな手術法があります。
先日の学会で、こまちクリニックの土井先生がこの手術法をわかりやすく分類してくれていました。
目頭切開法は大きく分けて「襞を切り取る手術」と「襞の方向を変える手術」に分けられます。
私はもっぱら「方向を変える」手術をしています。
理由は、「切り取る」手術は術後の後戻りの予想が難しい、形が丸くなりやすい、元に戻すのがむずかしい。一方「方向を変える」手術はその逆です。
以前書きましたように、目頭切開手術はどちらかというと「over correction」になりやすいので慎重に受けるべき手術です。
指で鼻の皮膚を引っ張ってシミュレーションをするのですが、このとき片目だけしてみて判断するのではなく必ず両目をしてみておかしくないか確認する必要があります。
術後に傷が目立つ場所ですので、縫合の技術もキーポイントです。2mmの傷縫合に2~3針の縫合が必要です。
私は以前書きましたようにルーペを必ず使用します。肉眼できちんと縫合できる自信がありません。(老眼もありますが・・・)