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脂肪注入された人体で残存脂肪の体積をどうやって計測するか。

3Dカメラはとても有効であることを説明しました。

ただし、これには一つ弱点があります。

それは3Dカメラが表面の立体的な変化量を測っているに過ぎないということです。

注入された脂肪は表面を変化させるだけでなく周囲、特に深部に向かっても広がっていきますから、必ずしも表面変化量だけでは本当の体積変化を測ることにはなりません。

逆に部位を限れば誤差を限りなく無視できるとも言えます。

そこで我々は、注入された脂肪の周囲への影響が少ない部位ということで「前額」を選択しました。

前額は、皮下にすぐに骨があり皮膚も比較的硬いので注入された脂肪が表面の変化にとどまりやすいと考えました。

しつこいようですが(笑)、これが2020年3月に学会誌に発表した論文が出るまでの経緯です。

つまりこの論文が出るまでにはこのように長い準備期間と思考過程を経る必要があったのです。

この結果、現在一般的に行われている方法だと脂肪残存率29.3%という数字を得ることができました。

今後新しい脂肪注入術では、おそらくこの数字を脂肪注入術の標準値としてこれを超えることが最低条件になると思っています。

いかがでしょうか?

まだこういった比較データのない、いわゆるファッションとしての新しい脂肪注入法にこだわられるでしょうか?

まあまあ、かたいことは言いっこなしで夢のあるファンタジーを求めるのもいいかもしれませんね笑。

ここで脂肪注入についてはいったん終了とします。

脂肪注入後に生着した脂肪の量をどうやって計測するか、しかも人体に負担をかけずに。

これが「新しい脂肪注入術」を開発するうえで最も重要な課題です。

そこで我々は、日ごろからシミュレーションなどに用いていた「3Dカメラ」を利用することを思いついたのです。

アナログデータをデジタルデータに変換するように、顔面の表面を小さな要素に分解してその一つ一つの要素がどれぐらい変化しているかを計測して、元の表面のデータに戻して全体での体積変化を計算するという方法です。

これだと患者さんに全く負担をかけずにルーティンで行っている3D写真撮影のデータのみで体積変化を計測できます。

この方法を用いて、術前術後の写真を撮影するだけでその間の顔面の体積変化が計測できます。

両者の写真で変化がない点をいくつかピックアップすることで、術前術後の写真の位置合わせを正確に行った後で変化したところだけの体積変化を計測します。

もちろん術後の計時的変化も、その都度撮影することで計測でき何回でも行うことができます。

これによって、脂肪注入後にどれぐらいの体積変化が顔面に起きているかを正確に測ることができるようになりました。

もう一つ残された課題については次回です。

医学的にいう「新しい脂肪注入術」をうたうには、生着率アップを理論的に証明することも大事ですが、実際に人体に注入した後に生着率(残存率)がアップしていることを証明する必要があります。

しかし実際に人で証明しようと思うとなかなか難しい問題があります。

前回のワクチンの話で考えてみても人体で有効性を証明するのが最終段階になりますがこれに一番時間がかかります。

今回のコロナワクチンの例を見ていますとこれはある意味で人体実験です。

医療提供側も患者側も偽薬か新薬か全くわからないようにして半々で投薬して結果的にどちらに有効性がみられたか、という厳しい臨床試験が行われています。

これを美容外科に当てはめるには無理があるとしても、少なくとも新しい治療方法をうたうのに従来の方法とどれぐらい違うのかが証明されていないというのは医学としてまずいのではないかというのが私の意見です。

ワクチンの例では人命がかかっていますので、ある意味人体実験も許される状況があります(もちろん倫理的に患者さんに不利益が与えられないような配慮はされているとは思いますが)。

美容医学でこれは通用しません、何故なら不要不急の医学ですからどのような形でも患者さんに不利益が生じてはいけないのです。

以前脂肪注入後の脂肪残存率を証明するためにCT検査を用いた論文がありましたが、CTによる被ばくを考えると患者さんへの不利益は正当化されるとは思えません。

要するに脂肪注入後の脂肪残存率を証明するのには、その方法をよく考えないといけないという大きな壁が存在するのです。

新しい脂肪注入術があったとしても、実際に患者さんで生着率アップが実証されてなければ「新しい脂肪注入術」とはいえません。

それは医学的な新しさではなく、単なるファッションです(美容外科にはこんな程度のものが多いです笑)。

30年前の昔々の脂肪注入術は、まず採取した脂肪を「茶こし」にいれて(本当に一般家庭の茶こしですよ笑、もちろん滅菌していますが)生理食塩水でじゃぶじゃぶ洗っていました。

不純物は生着の妨げになるであろうという理論で採取した脂肪を洗いまくっていたわけです。

これでは脂肪の生着に必要なものまですっかり洗い流されてしまってかえって生着率が落ちるということがわかってきました。

このことは実際に論文でも最近の脂肪注入法との間に生着率に差があることがわかっています。

この流れで脂肪注入術を考えると脂肪生着率の比較が脂肪注入術の優劣を決めるキーポイントであることがわかります。

したがって脂肪生着率をどうやって計測するか、これが脂肪注入術の改良に一番重要な課題になります。

前回の続きです。

驚愕の業者の答えは「わかりません」・・・でした。

まさかとおもって、その業者の方に「いやいやそれはないでしょ、英語でもなんでもいいから論文持ってきてくださいよ、比較試験した結果のある論文」

「いやありません」・・・

!?

要するに「コン~」という脂肪注入法には、脂肪生着率(残存率)がどれぐらいアップするかのデータがないのです。

理論的に脂肪生着率がアップする「はず」である、ということであって、我々が行っている方法と比較してどれぐらい脂肪が生着するかがわかるデータがないのです。

百歩譲って、この方法を行うのにほとんど費用が掛からない(要するに理論的な革新のみ)のであれば、まだこの方法を導入する意味もあるかもしれませんが、そんなものを業者がわざわざ売りに来るわけがありません、この方法を行うのに高額の器械を買わなければいけないのです。

この話、医療関係以外の方にもわかりやすく例えると、

・・・まずコロナのワクチンで考えてください。

両者ともに副作用のないワクチンAとワクチンBがあったとしましょう。

ワクチンAは実際に90%の予防効果が人で実証されているとします。

ワクチンBは理論的には90%以上の感染予防効果があるはずだが人で効果が実証されているわけではないとします。

ワクチンAよりもワクチンBはかなり高価であったとします。

あなたならどちらを選びますか?

ワクチンBに魅力を感じる人はたとえ高価であったとしてもこちらを選びます。

そういった人は「コン~」を選べばいいと思います。

私の考えは、「そんなに生着率が良くなるものならば、なぜそれを実証しようと考えないのですか?」です。

脂肪注入について患者さんからよくある質問に「コンデンス〇ッチ」ってどうですか?とか「先生のところはコンデンス〇ッチやってますか?」というものがあります。

脂肪注入については、この方法に限らずいろいろな独自の方法をおこなっていることを宣伝しているクリニックがあります。

私の考えを述べると、こういったいろいろな方法で行うことに否定はしませんし、いい方法であればどんどんやってほしいと思います。

しかし、よーく考えましょう、脂肪注入で一番大事なことはなんでしょうか?

新しい脂肪注入法の目的は「今までの方法よりもより多くの脂肪が生着し脂肪生着率(残存率)が上昇する」ことになります。

脂肪注入術の弱点はまさにここにあるからです、注入したものが全部生着するわけではないので、ボリュームコントロールが難しいんですよね。

これって美容外科では致命的で、この方法でどれぐらい変わるか正確にわからないのは美容外科医にとっても患者さんにとっても困ってしまうわけです。

「新しい脂肪注入法」は「今までの脂肪注入法」よりも生着率(残存率)が良くなければいけないわけです、これって理解するのとても簡単なことです。

そうじゃなければ、「新しい脂肪注入法」に意味がなくなります。

そこで私は、1年ぐらい前に冒頭の「コン~」を扱っている業者の方を呼んでこうたずねました。

「この方法で脂肪生着率(残存率)がどれぐらい上がりますか?」とたずねました。

その質問に対する業者の方の返答は驚愕に値するものでした。

以降次回へ

脂肪注入について、美容外科のなかで過去10年ぐらいでこれほど評価が変わった手術法はないと思います。

私が美容外科にかかわりをもつはるか前から「脂肪注入」は行われていました、30年以上前からです。

評価がどう変わったかといえば、「よくなった」のです。

10年ぐらい前までは、脂肪注入の評価は「どうせ全部なくなるんでしょ」といった感じでした。

山中先生が「iPS細胞」でノーベル賞を取って再生医療に注目が集まるようになったころ(2012年)からでしょうか。

さらに美容外科領域で脂肪注入が俄然再注目されるようになったのは「豊胸バッグ」騒動以降でしょう。

我々のクリニックでもここ数年の傾向として「脂肪注入」術の件数は爆発的に増加しています。

以前の記事に書きましたが、今年の3月に「脂肪注入」関連の論文まで出してしまいました。

ここまで発展する手術手技になるとは10年前には夢にも思いませんでした。

2020年はいろいろな意味で忘れられない年になりそうです。

もちろん個人的にはコロナ騒動で散々な面もありましたが、還暦を迎え初孫ができて名実ともに「おじいさん」になりました。

クリニックにも若いドクターが出入りするようになり、初めて自分がいつの間にか美容外科業界で上のほうにいることを実感させられました。

今でも自分のはるか上に目標があってそれを追い求めて診療をしているような気持ちを持っていましたが、ひょっとするとそんなことを考えているのは自分自身だけになってしまったのかもしれません。

ちょっと戸惑いながらすこし居心地の悪い思いもしながら、それでも新たな目標に向かって明日は今日よりも頑張ろうと思って日々を過ごしています。

もう少ししたら毎年恒例の今年の振り返りを行ってみたいと思いますが、何しろ最近は全身麻酔による手術が増加して手術の内容もますます複雑化してきて12月から来年1月にかけて予約ですっかり埋まってしまっている状況です。

朝起きてから夜寝るまで忙しく過ごさせていただいていることに感謝しながら今年の残り1か月余りを全力で駆け抜けたいと思います。

我々のクリニックから紙カルテがなくなったのは5年前ぐらいからです。

その前から徐々に電子カルテに移行しながら数年かけて完全移行を果たしました。

最初はとても不安と戸惑いの中で「本当に大丈夫だろうか」と情報を入力するたびに思ったものです。

しかし今となってはもう紙カルテに戻ることは100%ありえません。

紙カルテは見直すととても見づらいし、何といっても保管するのに膨大なスペースが必要になるのが負担になります。

クリニックにはカルテばかりではなくその他膨大な書類が必要になりますが、これも同じ理由で電子化したいと考え請求書や納品書などできるだけ電子ファイルで保管するスタイルへ移行しています。

いったんやりだすと電子カルテと同様とてもすっきりして整理しやすく見直しやすいことに気づきました。

もう一つ大きな利点としてファイルの共有がとても簡単にできることです。

クラウドに保管することで関係各所にメールでいちいち送ることも不必要になります。

もうこの流れに逆らうことはできません。

これから請求書関係は郵便ではなく、メールの添付ファイルで送っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

最初から修正手術を考えて手術を受ける患者さんもいませんし、手術をするドクターもいません。

患者さんも医師もこの手術が最初で最後と考えています。

もちろんそうあるべきです。

しかし、そう願うこととは別にして、万が一修正になったときに困らない手術を心掛けておくこともとても重要です。

具体的には過去の記事で書いてきましたが、鼻であれば「鼻中隔延長術」、瞼であれば「挙筋腱膜」、フェイスリフトであれば「SMAS」など手術には欠かせないポイントがあります。

それらは手術の結果を安定化させる目的もありますが、万が一の修正の時にもとても強い味方になってくれるものです。

ただし皮肉なことに、これらの手術による修正は少なく、むしろそれ以外の方法による修正が圧倒的に多いので困ってしまうわけです。

もう一つ気を付けなければいけないのは、手術は丁寧に行うことを念頭に置いて行うべきです。

何度も申し上げてきましたが、手術の跡は必ず残りますので乱暴な手術の跡はすぐにわかります、とても分厚く硬い瘢痕があるからです。

結果は変わらないから、といういい加減な考えで乱暴な手術をしてはいけません。

そういった手術後の修正手術をするときには、はるかに大変な手術が必要になってリスクも高まります。

最初の手術をする医師にはそういった意味で修正手術のことを考えて丁寧な基本に沿ったやり方で行ってほしいし、患者さんもそういった手術を受けてほしいと願うばかりです。

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