今月末で八事石坂クリニックを開業して満12年になります。
このブログも13年続きました。
美容外科医のブログとしては最長の部類に入ると思います。
私の知るところでは札幌美容形成外科の本間先生のブログが私よりも半年ぐらい早くて日本一だと思います。
最近では「本の続編」を意識した記事なのでなが~い記事ばかりになって、読むのも退屈なのではないかと少し心配しています。
そこで最近はやりの動画を使った形にしていこうと思っています。
今考えているのはユーチューブでよく見る「ホワイトボードアニメ」によるプレゼンのような形にしていこうと思っています。
先月に日本語対応になったばかりのソフト「videoscribe」を昨日1日かけてだいたいマスターできたので、実際にやってみていいものができたらユーチューブにアップしていこうと思います。
よろしくね!
前額形成は小顔戦略の中で重要な手段の一つです。
女性の場合、丸いおでこはかわいらしさの象徴にもなります。
また鼻をこじんまりと見せるにも重要なポイントになります。
ただし、何でもかんでも丸く前に出ていればいいというものではありません。
日本人が好む自然な前額の形について書いていきます。
よく韓国整形でみられるような前額形成はとにかく丸いという感じでわざとらしいからいやだといわれます。
「イルカ」を彷彿させます。
詳しくは「ゴンドウクジラ」でした、これはこれでかわいいですよね笑。
こんな感じだと眉毛の上に段差もみられるし、「とってつけた」感があります。
自分であればこんな感じの前額がいいと思います。
おでこの生え際寄りにトップが来るような前額が自然なかわいらしさを醸し出しているのではないかと思います。
このような前額は、前額が「立って」みえることで広く見え、それが小顔効果につながります。
脂肪注入にしてもハイドロキシアパタイト(HA)による前額形成の場合にも常にこのような形態を意識して手術をしています。
もちろん患者さんの好みもあると思いますので常にこのパターンがあてはまるとは限りません。
特に堀の深い「西洋人」もどきを目指す患者さんの場合は、もっと全体に前に出すことが必要と思われます。
そうなると脂肪注入では複数回の手術が必要ですし、HAではHAそのものがとても高額なのでコストがかかりすぎます。
その場合は材料代の安価なシリコンや骨セメント(アクリル樹脂)が適応になると考えられます(値段は1~2桁ちがいます、安っ笑)。
いずれにしても、前額形成を女性らしいかわいらしさを目的として小顔効果の一環にもなりアップノーズが似合うように、ということを考えると、前額の生え際寄りにトップが来るように脂肪注入するのが一番いいのではないかというのが私の考えです。
前掲の学術論文や著書にもこの「脂肪注入による前額形成」について詳しく書いていますので興味のある方はそちらを参考にして下さい。
前回は脂肪注入による前額形成術について書きました。
今回は何らかの理由で脂肪注入できない場合の前額形成です。
生体親和性から考えるとハイドロキシアパタイト(HA)による前額形成が適応になります。
確かにHAによる骨形成は、整形外科・形成外科でも一般的になっているようで術後のHAの状態をみると患者さん自身の骨と完全に一体化して見分けがつきにくいほどの親和性を示していました。
使用できる材料の形態も、ペースト状のものから顆粒状のものまであり使用状況によって使い分けられるようになっています。
前額形成の場合はペースト状のものが使いやすいのですが、使い方には注意が必要です。
一番まずいのは、ペースト状だからと言って小さな穴から前額の皮下に注入する、といった使い方です。
これは患者さんにとっては傷が少なくてすむという一見メリットがあるように思えるのですが、このような使い方は注入後のHAをドライな状態で硬化するまで待つことができないので、一部完全硬化が得られず術後の感染や不良肉芽形成などのトラブルをおこします(他院の術後で実際に見られたトラブルです)。
やはり後頭環状切開をもちいて前額骨を完全に露出した状態でHAを骨に直接乗せて完全硬化するまで30分以上待つ必要があるようです。
うちのクリニックでは5年以上経過した患者さんの検診をしておりますが、非常に美しい自然な形態が得られていて境目を触れることもなくスムースで、トラブルがないことを確認できています。
また後頭環状切開による被髪頭部内の傷は目立ちにくく髪の毛をかき分けてようやく確認できる、という程度です(クリニックには術後の傷の写真の用意もあります)。
方法論はこのあたりにして、前額形成で気を付けたいことを次回に書きます。
輪郭手術で大事なのは(輪郭に限らずですね)術後のイメージを明確に持つことです。
輪郭において大事なポイントを挙げるなら「小顔に見える輪郭」と「スムースな輪郭ライン」です。
小顔に見えるようにするには、できるだけボリュームのポイントを頭側に持ってくることです。
つまり、前額やこめかみ、ほほの高い位置にボリュームを持ってきます。私はこういった輪郭を「ハート形」と呼んでいます。
ここは体積が増えることになるので、一見「小顔」にすることと矛盾するように感じるかもしれません。
前回で書きましたように、小顔に見えるようにすることが大事であるというのはこういったことです。
具体的に、前額やこめかみにボリュームを出す手術について書いていきます。
詳しいことは、過去に紹介しました「分担執筆 非手術・低侵襲美容外科」の前額の項を参考になさってください。
前額にボリュームを出す手術には、大きく分けて「脂肪注入」「ハイドロキシアパタイトHA」「シリコンプロテーゼ」「骨セメント」があります。
生体親和性から考えるとこの順番に優れていると考えられます。
したがって当院では「脂肪注入」「HA」を優先に行っています。
さらに女性の前額であれば「脂肪注入」がほぼ一択になります。何故なら仕上がりが自然で柔らかい輪郭を表現できることと、脂肪採取部に困ることが少ないからです。
あとは手術侵襲がほかの方法に比較して極めて少なく、基本的に傷はつきません(太い針孔程度が数か所)。
ただ、脂肪注入はご存じのように、最初に入れた量が全部残るわけではないことが最大の欠点といわれてきました。
我々は脂肪注入においてこの問題が解決できれば非常に信頼性が増すと考え、従来「なんとなく生着が3割ぐらいかな~」と言われてきたことに、明確なアンサーを出すべく努力してきました。
その研究結果をまとめて今年の3月に形成外科学会誌に発表しました。今までにこのブログで何度も書いてきましたようにいろいろないきさつがありましたが、前額における脂肪注入の生着率における正確で科学的な結果を出したのはこれが世界初です。
では、脂肪が極めて少ない女性や男性はどうするか、について次回以降書きます。
顔の輪郭手術について
輪郭手術を考えるには、まずどんな輪郭になると患者さんの満足につながりやすいかを理解する必要があります。
女性の場合を考えましょう。
よほど変わったご希望がなければ、年齢に限らず基本は「小顔」になります。
美容外科で「小顔」といえば、顔が小さく見える、ということです。
ここは一番重要ですので繰り返し言います、「小顔に見える」ことです。
つまり物理的に顔の体積を小さくすること、ではありません。
ここを誤解していると、患者さんの満足感になかなかつながりません。
顔面骨の骨切り、顔の脂肪吸引、咬筋BTX注入などは、体積は小さくなるものの必ず小顔に見えるようになるとは限らないのです。
では具体的にはどうすればいいか
まずは顔を3分割します、鼻の時と同じように上・中・下にわけます。
単純に言ってしまえば、この「下」にボリューム感があり、「上」にボリューム感がないと「小顔」にみえません。
要するに「上・下」のバランスが悪いと顔が大きく見えるということになります。
わかりやすく言うと「ゴリラ」型ですね。
ここで「あれっ?」と思いましたか、・・・そうです、「上」にはボリュームがあった方がいい、ということです、顔を小さくしたいにも関わらず。
続きは次号で。
クリニックの広告における個人の情報発信について、続きです。
前回は「光」の部分についてお話ししました。
今回は「闇」について。
これは一言でいえば情報発信側の「匿名性」です。
中には信頼に値する情報もあるでしょうが、情報受け取り側からすると情報の全体像が見えるわけではありません。
書き込んだ個人の詳しい状況までは分からないので、書き込み内容に根も葉もない情報が紛れ込んでいる可能性もあります。
以前でいえば2ちゃ〇ねる今ならツイ〇ターなどの手軽に書き込める投稿サイトには有用な情報もあるでしょうが、ブログやインスタのように発信者が比較的明瞭な手段に比べるといわゆる「がさネタ」も散見されるようです。
最近では根も葉もない誹謗中傷に対して発信者情報の開示手続き簡略化により、かつてほどひどい書き込みはなくなったようです。
うちのクリニックでいえば、患者さんの数がほかの美容クリニックに比べて圧倒的に少ないこと(多分?)と、手術適応を厳密にしているので術後におかしなことを書き込む患者さんは非常に目立ちますし、身元もこちらではすぐわかってしまいます(良くも悪くも書き込んでいただいた患者さんの匿名性はないかもしれません笑)。
いずれにしても、患者さんの情報発信はとても有用性が高いと思われますが、ほかの方への影響力の大きさを十分に考えて一人一人がモラルをもって発信していただきたいと思っています。
今回は
ゆがんでいるとも思える美容外科広告事情に少しづつ光明が差してきた、という話です。
結論からいうと個人の情報発信、美容外科でいえば患者さんの情報発信です。
実際にクリニックで手術や施術を受けた患者さんが情報を発信し始めたのが今から10年ぐらい前からです。
文章(ブログなど)、写真(インスタグラム)、動画(ユーチューブ)などいまや誰でも情報発信することができる環境が整っています。
うちのクリニックでいいますと
2014年に大阪のブロガーがうちのクリニックで鼻の手術をうけました。
その患者さんは、自身のブログで術後1日目から顔の状態をほぼ毎日写真付きで克明にアップしてくれて、多くの患者さんがそれを見ることでうちのクリニックの存在を知ることになったようです。
それまで、うちのクリニックで行われている手術の宣伝はHPこそ作ってはいましたが、前回記事のような検索エンジン対策はほとんどせず、もちろん上位に表示されることなくほとんどの患者さんに存在を知られていない状態でした(それは今でも変わらないようです笑)。
その患者さんもほかのクリニックで手術を断られたのでたまたまうちのクリニックで手術をうけることになったというのがいきさつです。
その患者さんの手術後半年ぐらいから鼻の相談と手術が激増して、一番忙しいときは1週間毎日7~8時間の手術が続くようなこともあったぐらいです。
なかにはカウンセリングまでに3か月、手術はさらにそれから3か月待ちという時もあったようです。
さすがに5年も経過するとその患者さんの影響力もなくなってしまいましたが、今でも時々見たことがあるという患者さんがおられます。
さらに最近では、去年フェイスリフトと目・鼻の手術を受けた患者さんが術後の詳細をブログにアップしてくれて特にフェイスリフトの患者さんが激増しました。
以前からフェイスリフトについては、学会に何度も発表していて美容外科医の中では少し知られていたぐらいでした。
その関係で、それまではフェイスリフトを受ける患者さんは美容外科医(女医さん)が多く、その女医さんからの紹介で時々一般の患者さんもフェイスリフトをうけていただくことが多かったようです。
私にとってはずっと当たり前のように行ってきたフェイスリフトの方法が、自然な仕上がりで患者さんからの評判がよく去年の患者さんも率直な感想を書いていただきフェイスリフト患者さんの激増につながったようです。
鼻の手術もフェイスリフトの手術も10年以上前から変わらない方法でおこなってきましたが、心ある患者さんに評判を広めてもらって、言ってみれば「発掘」されたような格好になっています。
このような患者さんを私は「エンジェル」と呼んでいますが、こういった方が情報発信することは日本の美容外科業界の発展に大きく寄与することにつながると信じています。
一方、患者さんの情報発信は光の部分だけではありません。
闇の部分については次回以降に!
今回はクリニックの宣伝について書きます。
美容外科がほかの科のクリニックと大きく違う点の一つが「広告宣伝」です。
クリニック経営で、一番大きな支出を占めるのが宣伝費というクリニックが多いと思います。
普通の病院や診療所は地域医療をメインにすることが多いのですが、美容外科には地域医療という性格はほとんどありません。
美容外科の診療圏は極端にいえば全世界になります。
地域医療の場合、集客(集患者)には地域のコミュニティでの評判が一番重要で、その最たるものが口コミでした。
いい評判の病院診療所には患者さんが集まる、悪い評判がたつと患者さんが逃げていく、という単純な宣伝形態が働いてきました。
ところが美容外科は、上記の理由で従来口コミが役に立たないことが多く、代わりにあらゆるメディアを用いて情報発信することが宣伝のメインとなってきました。
20年以上前までは、雑誌、テレビなどのメディアが宣伝の中心でここにはクリニックの情報があふれていて、美容外科クリニックの来院患者数はこの掲載料や放映料と完全にパラレルでした。
もちろん医療の広告には医療法の規制がありますが、一方通行の情報発信ですからクリニックが好きなことを書いても大丈夫でした(例えばクリニックの独自な手術法、手術症例数日本一とか)。
20年前にインターネットが普及してからはメディアの中心が大きく変わりました。
情報発信の主体はネットになり、クリニックの情報発信はホームページ(HP)を作成することになります。
一見するとHP作成は一度行ってしまえば以後それほど費用が掛からないので広告費の割合は減少するかに思えました。
ところが、患者さんにHPを診てもらおうとすると検索エンジン(グーグルやヤフー)対策が必要となり、これに多額の費用がかかるようになってきました。
患者さんがあるキーワード(例えば「美容整形 名医」など)で検索して表示される最初の1ページの上位になるには多額の費用が必要になります。
クリニック側としては、ここに費用をかければかけるほどHPの閲覧される回数が増加し、来院患者数も増える、という従来の広告パターンと全く同じような構造となっています。
ネットのスマートなところは、患者さんにとって検索で上位に表示されるクリニックはあたかも人気のある優れたクリニックに思わせてしまうところです。
自分で時々興味本位で美容関連のキーワードで検索してみるのですが、業界では聞いたこともないクリニックが上位表示されていたり、どう見ても不自然な順位で表示されていることは日常茶飯事です。
グーグルなどは、患者さんに有用な情報を伝えるために検索のアルゴリズムを変更したり改善?したりするそうですが、果たしてそれがうまく機能しているのか全く疑問です。
こんな広告環境で、患者さんにとって有用な情報をお伝えすることが可能になっていくとはとても思えないのです。
そんな中で、美容外科にもやっとまともな情報発信手段が芽生えようとしているようです。
続きは次回以降で。
鼻骨骨切りの続きです。
術後の固定期間について私の考えです。
もちろん骨切りがどのように行われているか、そのちがいによって考え方も違ってくると思います。
骨切りを経験しているドクターならわかると思いますが、内方骨折を行ったときに「ぽきっ」と音がします。
この時に骨片がどこにもつながっていない感じがしたときは、完全に折れてしまっていて、場合によっては第3骨片があります。
この場合、骨片が内方に落ち込みやすく術後の鼻閉状態が起こりやすくなります。
折れてはいるが骨片が何かにつながっている感じがする場合は、若竹骨折(bamboo fracture)あるいは不全骨折(骨片がつながっている)に近い状態です。
骨片の術後のコントロールという面からいうと後者の方がいいのですが、術後に戻りやすくなります。
その場合、術後のギプス固定期間は2~3週間必要と考えます。
これらを踏まえたうえでうちのクリニックの場合、通常3週間のギプス固定を推奨しています。
何故なら、せっかく骨切りをして戻ってしまうのはいかにももったいないと思うからです。
ところがほかのクリニックで骨切り術を受けた患者さんにお聞きすると術後1週間の固定でいいと言われていることが多いようです。
その患者さんたちにお聞きすると「術後あまり変化を感じなかった」という感想で、実際に私が触診してもあまり術後の骨片の移動がみられないことが多いようです。
おそらく骨片の後戻りが起きていると思われるのですが、実際にうちの患者さんで骨切りをうけて術後1週間目でギプスを除去したときに骨片を動かしてみると相当動きます。
2週間目だとかなり抵抗を感じますので、80%ぐらいの骨癒合が起きているようです。骨癒合が完全になれば後戻りは起きないので1日のギプス固定時間も短時間で十分になります。
術後に変化があまり見られなかった場合は一度3DCTをとって骨片の移動の状況を確認することもできます。
こういったこともうちのクリニックのように、術後こまめに検診に来ていただいて状況を見させていただけるからこそわかることではないかと思っています。
次回はちょっと趣向を変えて、クリニックの宣伝について書いていきます。
今後も歯に衣着せぬ辛口で行きますので、怖いと思う方は読まない方がいいかもしれませんね(笑)
じゃーね、バイバイ
今回から鼻骨骨切りについてです。
鼻をすっきり見せるには、どうしても高さが必要になることを説明してきました。
しかし、この鼻骨骨切りに関しては、高さを変えずに幅を狭くすることができる唯一の手術になります。
正面から見て鼻の中央あたりの幅が広い患者さんに特に向いている手術です。
出来上がりは手術のイメージ・規模に比してとても自然です。
手術の方法は、経皮法と鼻腔内法があり、専用のノミをどこから挿入するかの違いになります。
私は、経皮法を好んでいます。鼻腔内に比べて骨切りラインのコントロールが正確であることと鼻腔内粘膜の損傷が少ないので術後の鼻出血や腫れが少ないことがメリットです。
皮膚に2~3か所の2mmの傷ができますが、術後はほとんど目立たないものです。
骨切りは鼻の手術の花形ですから、美容外科医も手術法に目が行きやすいですが、一番重要なのは術後の固定法と考えています。
これについては次回に書きます。