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八事石坂クリニックのカウンセリングは、他とはちょっと違います。

特殊なことをしているというよりは、むしろオーソドックスな正統派カウンセリングと思っています。

「二重にしてください」というシンプルな相談から「顔をどうしたらいい感じになりますか」という複雑な相談までありますが、どちらかというと後者が多いようです。

こういった相談こそ、美容外科医としての本領が発揮されると思います。

そういった複雑な相談の場合に一番大事なことは、手術で目指している顔(ゴール)のイメージがあるかどうかということです。

特に鼻や輪郭の手術の場合に一番失敗しやすいのは、どんな手術をするか、ということが話題になってしまっていて肝心なゴール設定がなおざりになっている場合です。

ゴールが鮮明になっていない段階で行き当たりばったりにやみくもに手術をしても、思うような結果になることは決してありません。

こういったケースは例を挙げるのにいとまがないほどに多いです。

例1 鼻先を細くしようと思って「鼻尖縮小術」をしたのに変わらなかった。

これは一番多い修正パターンで、鼻先のすっきりした鼻にする手術→鼻尖縮小術と単純に考えたのでしょうが、鼻尖縮小術は鼻翼軟骨を形成して縫合する手術で、患者さんが期待している「鼻先の見た目が必ずすっきりすることをお約束する手術」ではありません。

例2 小顔にしようとして、顔面骨(顎、頬骨、えらなど)すべてを削ったのに、本人の考えている小顔とはほど遠い結果で、むしろ前よりも顔が大きく見えるようになった。

これもよくあるパターンで、顔面骨骨切りは一般的に高額の手術になりやすいのでご本人の落胆ぶりは目も当てられません。ただ術後のレントゲン写真をみるとちゃんと骨は削られていて、むしろ名人級の腕前の術者だったことがわかりました。なぜこういった結果になるのでしょうか?

共通していることは、手術をすることで得られるであろうイメージが、術前に術者と患者さんの間で共有されてなかったということです。

何をするか(例1の場合は鼻尖縮小術、例2の場合は顔面骨切り術)はお互いに了解されていましたが、患者さんもどんなイメージなりたいかを伝えてなかったし、術者にも全く伝わってなかったというのが真相です。

こういったことが美容外科医も分かっていないのですから、ましてや経験の少ない患者さんにはなかなか理解できないことかもしれません。

ですからカウンセリングに時間がかかるのは当然だというのが私の考えです。

それでは例1 例2のケースは具体的にどうすればよかったのか、次回に書きます。

二重手術を希望される患者さんが口にされることが多いのは「自然な感じ」にしてください、です。

この「自然な感じ」ってなかなか難しいですよね。

所詮、手術でつくった二重ですから天然とは違います。

元々一重の瞼は分厚いことが多いのですが、手術で二重にすると「無理やり作った二重」感がどうしても強くなります。

そういう瞼でなくても手術で作ったラインは天然の二重より食い込みが強く、閉瞼時にもラインが残ったりして人工感がでます。

ただ、患者さんや患者さんの周りの人々全部がそれを気にするわけではありません。

映画でもテレビでもそうですが所詮全部作りもので、CGを使ってリアルに近づくことはできても所詮偽物ですが、多くの人に感動を与えることができます。

ただ中には、CGはやはり嘘っぽく感じてしまう人もいるように偽物の二重が気になってし方がない患者さんもおられるわけです。

こういった場合、どちらが「いい」、「悪い」ということを問題にするよりも、美容外科医がそれをカウンセリングの時に見抜けずに手術して不満足な結果になった場合の術後の対処法を考えておくことのほうが重要です。

どんなに時間をかけてカウンセリングをしても、二重の手術に限らず結果に不満足な患者さんは一定数おられます。

その時に一番大事なことは手術結果を少なくともリセットできるということ、二重の手術ではそれを可能にする方法が「埋没法」ということになります(美容外科手術でほぼ元に戻すことができるものはとても少ないのです)。

多くのクリニックではそうだと思いますが、二重希望の患者さんが受ける手術の90%以上は「埋没法」になる理由がここにあります。

経営効率重視で考えるなら、術前のカウンセリングに時間をかけるよりは不満足な患者さんの対処法を考えておいてほうがいい、ということです。

手術で最も多い「二重」の相談

今やコスメで簡単に二重にできる世の中ですが、それでも手術で二重を希望される患者さんは減ることはありません。

毎朝二重にする「儀式」のための早起きから解放されるならいっそのこと手術してしまいたい、という患者さんもおられます。

年頃になって友達とお泊り旅行に行くにも寝起きに一重がばれたらどうしようとか、いろいろな悩みの末に手術を決意する方もいます。

美容外科医にとって、二重の手術は埋没法でも手術をすればほぼ100%二重にして差し上げることができます。

ですから美容外科医の最初の手術が埋没法だったというケースがほとんどだと思います。

さらに、二重の手術は潜在的に患者さんが希望している「かわいくなりたい」という希望もほぼかなえることができます。

そんなのあたりまえじゃん、と思うかもしれませんがこれはすごいことです。

美容外科の手術でここまで高率に希望を叶えることができる手術はほかにみあたりません。

(埋没法の優れた点はまた別の記事で書いていこうと思います。)

こういったことから、二重のカウンセリングは簡単に済ませられる、と考えがちです。

しかし、それほどポピュラーな二重手術であるからこそ高度な結果を求めている患者さんも中にはおられます。

一番多いのは、「自然な二重」にしてほしい、というご希望です。

「自然な二重」の意味は、おそらく天然の二重、生まれたときから二重だったと思われるような二重、という意味だと思います。

いかにも「整形」という二重にしてください、という患者さんはめったにいません。

こういった細かい希望まで考慮して二重の手術を考えようとすると、この手術のカウンセリングも容易ではありません。

美容外科ではカウンセリングが一番重要です。

カウンセリングを受ければ、そのクリニックが美容外科をどのように考えているかすぐにわかります。

まずはカウンセリング時間

最近はいろいろなクリニックを回ってカウンセリングを受けてきた患者さんが来院されます。

そんな患者さんにカウンセリング時間をお聞きするとだいたい10分から15分です。

八事石坂クリニックのカウンセリングは、最低でも30分、長いと60分以上、場合によっては日にちをかえて2回ないし3回、それ以上の方もいます。

カウンセリングは長ければいいというものではありませんが、そのクリニックが本当に患者さんのご希望をお聞きすることを考えているのであれば、20分以上は必要と考えています(来院された患者さんが本当の希望をぽつりぽつりとお話してくださるのは大体20分ぐらいたってから、というのが私の経験からいえることです、過去の記事から)。

次にカウンセリング内容

時間の短いカウンセリングで患者さんにつたえることができる内容は、どんな手術をするかの説明です。

なぜその手術が必要か、ほかに必要な手術はないのか、さらに言えばその患者さんがなぜ手術を考えたのか、なりたいイメージは何か、

そういったそもそも美容外科で一番大事な問題はとてもその短い時間で話し合うことはできません。

とくにそういった内容のカウンセリングが必要なのは鼻を含めた輪郭の手術が必要な患者さんです。

バランスを考えないと不自然な結果になりやすいので、総合的な判断がとても重要です。

次回から具体的に書いていきます。

今回はちょっと愚痴になるかもしれません。

実は、前回書いたように今年の3月に脂肪注入の残存率についての論文が形成外科学会誌に掲載されました。

論文を投稿したのは去年の9月ごろですが、論文掲載が決定するまでに3~4回学会事務局とのやり取りがありました。普通、論文を投稿すると3人ぐらいの査読者が付き(こちらからはそれが誰かはわかりませんが)、コメントがつけられます。

その中のAという査読者からなんと「掲載不可」のコメントでした。その理由として、計測法が脂肪の残存率を表しているとは思えない、という驚愕の内容でした(ほかの査読者B,Cは常識的なコメントで2~3の訂正の上で掲載可ということでした)。

少なくとも脂肪注入後3Dカメラで体積を測る方法は、脂肪注入による豊胸術では英語の論文も発表されていてその論文も参考文献に入れてあったにもかかわらず、です。

査読者Aがこの方法以外にもっと優れた方法を知っているならそれをコメントで書くべきですが、上記のような無責任な内容で、根拠のない否定の仕方に憤りを感じました。

そんな時に、youtubeで山中伸弥先生(iPS細胞の研究で2012年ノーベル賞を取ったことはよく知られています)の公演を聞き、あの山中先生でもアメリカから日本に帰ってきたばかりでアメリカの研究所のバックアップがなくなったとたん投稿論文が通らなくなった、という話を聞きました。

先の査読者Aも、一美容外科開業医の論文などインチキな内容と決めつけて驚愕のコメントをつけてきたのかもしれません。

その後、事務局もその辺を感じ取ったのか査読者Aのみ交代させて、再審査となり結局掲載決定になりましたが、こんな無責任なコメントを返されるようだと投稿する意欲がなくなります。

査読者Aに直接話をして、掲載不可のほんとうの理由を聞きたいところですが、それができなければこの査読者Aのコメントは、ネットで誹謗中傷を書き込む人と同じレベルと思われても仕方ないと思います。

理屈だけでは通らないのが世の常でしょうが、ちょっと情けない気持ちになりました。

脂肪注入したときの脂肪の残存率。

この手術の大きな要点の一つです。いったいどれくらい残るのか?という問題です。

それを知るうえで一番重要な問題は、注入された脂肪をどうやって計測するか、です。

脂肪注入というと方法論に目が行きがちですが、もし優れた注入方法があったとしてそれを証明するには、まず残存率が有意に上昇したことを示さなければいけません。

かつて、コンデン〇リッ〇といういかにも生着率がよさそうな方法を業者に勧められたことがあります(この方法で多数の学会発表もあります)が、具体的な生着率のアップがどれくらいかを尋ねても明確な答えがありませんでした。論文も紹介されませんでした。

びっくりするかもしれませんが、この方法でするとなんとなくいいかな、という程度の証拠しかありません。

なぜなら、今まで残存した脂肪を簡単に正確に計測する方法がなかったからです。

美容外科の患者さんにCT検査をしたり、大掛かりな検査をすることは不向きです。

そこで私はこの計測方法に3Dカメラを用いることで、正確な容量の変化を簡単に知ることができるのではないかと考えました。

その結果を今年の3月に論文発表しましたのでご興味のあるドクターは形成外科学会誌を参照してください。

これによって今までなんとなく感じていた注入脂肪の残存率や吸収過程が何か月続くのか、ということが正確にわかるようになりました。

この方法なら、残存率アップに大きく寄与するものは何かもわかるようになります。

医学としての美容外科を考えるうえで、こういった地味な研究結果でも非常に大きな1歩と考えています。

*最近の記事は、形成外科研修を修了して専門医習得後、美容外科を始めようとしている医師に向けて書いています。

若返り手術の1番はじめにお話ししたことを思い出しましょう。

若返りの手術を考えるときに大事な2点「皮膚のテンションアップ」と「ボリュームコントロール」があることを書きました。

テンションアップの一つの方法のフェイスリフトについては多少なりともご理解できたとして、次はボリュームコントロールについて書いていきます。

老けて見える顔にありがちなのは顔の上半分のボリュームダウンです。

前額、こめかみ、下眼瞼から頬のボリュームが年齢とともに減少してきます。

これらの部分にも引き上げが必要なこともありますが、圧倒的にボリュームダウンが大きな原因になりますので解決方法はボリュームアップが第一選択です。

うちのクリニックでボリュームアップで使われている方法は脂肪注入です。

もちろん自分の脂肪を移植します。

女性の場合、かなり痩せている患者さんでも太腿とか臀部には余分な脂肪がついています。

脂肪を取らないでほしい、という患者さんもめったにいません。

その脂肪を吸い出して、オデコなどに注入しますよ、というと結構喜ばれます。

この方法のいいところは、患者さんに受け入れやすい、というところと結果に不満足が少ない、という点です。

これで学問的な裏付けが得られれば、かなり有望な手術手段になります。

従来から言われてきた一番の課題は、脂肪の生着率、残存率です。

最終的にどれぐらいの脂肪が注入された部位に残ると考えられるのか、それが問題です。

それについて次回以降に書いていきます。

*最近の記事は、形成外科研修を修了して専門医習得後、美容外科を始めようとしている医師に向けて書いています。

当クリニックで使っている糸は、強力な引き上げ効果を期待できる糸「シルエットリフト🄬、以下SL」です。

ですから、単独で使うことはありません。

理由は前回の記事を読んでいただければわかりますよね。

このSLが出たての頃、いろいろなクリニックで使われていたようですが、今やうちのクリニック以外で使われていることはほとんどないようです。

なぜなら、SLは単独で用いるには引き上げ効果が強力すぎて自然な結果を出しにくいからです。

SLも発売後、改良?がなされて糸が解けるタイプのものとか引き上げないタイプのものなどがあるようですが、私は解けない糸で引き上げタイプのものしか使いません。

ほとんどのケースが、フェイスリフト(FL)との併用です。

かれこれ10年ぐらい前からこのパターンです。

これによってFLの弱点をSLで補い、SLの弱点をFLで補うことができます。

FLの欠点は、たるみが一番気になるところの顔の正面の部分の改善力が弱いこと、

SLの欠点は、たるみの移動は可能だが解消はできないことです。

一方、FLの利点はたるみを切り取ることができること SLの利点は顔の正面に引き上げ効果を及ぼすことができること、です。

見事なマッチングだと思いますが、詳しくは過去の美容外科学会で発表してきましたし、論文にもなっています。

さらに10年ぐらいぶれることなくこの方法で行い、効果の持続も確認しています。

来る8月に行われる形成外科学会のパネルディスカッションでも術後9年間の患者さんの経過を発表する予定です。

最初にお話ししましたように、たるみ取りの手術の2つの要件は「たるみを引き上げる」ことと「その効果を持続できる」ことでした。

私の方法でこれを満たすことができることを10年かかって漸く証明することができたと思っています。

今回は、今はやっている「糸によるリフト」についてです。

まず美容外科の手術の大原則に戻ってみましょう。

「傷を小さくしたり、手術で手を付ける範囲を狭くする場合、効果を出せば出すほど不自然になる」でしたね!

これは若返りの手術にも当てはまることをずーっとお話してきました。

効果のある手術を期待するのであれば、SMASをきちんと処理して、皮膚剥離範囲も必要十分に行うことが大事です。

しかし「糸によるリフト」を考えてみると傷はほとんどつけない、皮膚を剥離する必要がない、など美容外科手術の原則に当てはまらないので、効果を期待してはいけない手術になってしまいます。

実際に「糸によるリフト」でトラブルになるとすれば、これで大きな効果を期待した場合(患者さんも医者も)に考えられます。

「心優しい」世の大部分の美容外科医は、私のように本当のことを言ってしまって患者さんの期待を裏切るようなことはしません!

「手術ほどの効果は難しいけれど、何とか糸でやってみましょう」と優しく対応してくれます。

最初は4本~8本、徐々に糸の本数も増えていきます。いつか本人が納得できる効果が「虹のかなた」に出るはずと信じて、気づいてみればなんと顔に100本の糸が・・・実際の話です。

なぜこうなってしまうのか。

よく考えてみればあたりまえですよね。大原則に戻って考えてみましょう。

まずフェイスリフトは「面」で引き上げるべき所を「線」で引き上げることによる問題がひとつあります。これは本数を増やせば「線」が「面」に近づいていくことでなんとかなるかもしれません。

もう一つの問題は、糸による引き上げは、たるみを移動するだけで皮膚切除をしていないので解消しているわけではありません。上に移動したたるみは必ず後戻りの原因になります。

結論は、糸単独でたるみ引き上げを考えると、かなりの本数が必要であることとたとえそれだけ本数を入れられたとしても効果は数か月で消えていく、という理論通りの経過になります。

こういったことをよく理解したうえで、それでも糸を希望される患者さんがおられれば糸によるリフトも悪くない、というのが私の考えです。

今回は咬筋より前方にSMASはあるか、そこまで剥離する意味はあるのか という話です。

解剖学的にはSMASらしきものはあるのでしょうが、手術中に見てもほとんどわかりません。

先にも書きましたが、そもそもSMASは最初からそこに存在しているものではありませんし、顔の前方に向かっていくとどんどん薄くなってますます確認するのが難しくなっていきます。

実際に超音波画像で診ても耳前部から咬筋前縁まではSMASを確認することはできますが、それよりも前になると急に不鮮明になります。

また文献によっては大頬骨筋周囲まで剥離すると書いてありますが、実際にやってみるとかなり大変で、顔面神経がどこを走っているかわからないのでとても不安です。

要は、SMAS弁をけん引したときに口元近辺までその力が伝わっていれば十分なので、もし伝わり方が不十分な時にはさらに剥離を進めるかリガメント処理を追加するようにすればいいと思います。

その方針でSMAS弁の下の剥離を進めていくと、だいたい咬筋前縁をちょっと超えるところまでの剥離で十分だということが分かるようになりました。

皮下の剥離範囲も、皮膚切除するのに必要な範囲としています。

皮下の剥離を法令線とかマリオネットライン付近までする先生もおられますが、術後の腫れ方やリスクを考えると口元の皮膚直下のたるみをとる目的なら皮下剥離して引っ張るよりも糸を併用したほうが無難だと思っています

私は、今まで学会で何度も発表してきたスレッドリフト(シルエットリフト®)を好んで用いています。

糸については、次回以降で詳しく述べます。

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