月日の過ぎるのは早いものです。
「時は金なり」と言われます。
これについては「時間はお金で買える」とも取れます。
例えば、歩いて1時間かかる距離でもお金を出せばもっと早く目的に着くことができます。
これは短縮できた時間をお金で買っているということになります。
最近私は「時は金なり」にはもう一つ意味を考えています。
それは「時間」はお金でもってしても買えない貴重なものである、ということです。
以前の記事にも書きましたが、私はかれこれ35年近くジム通いをしています。
何もしなければ衰える一方の筋肉を維持する、あるいは増強するには、相当の時間と不断の努力が必要になることを痛感しています。
いかにお金持ちが大金を払ったとしても、相応の時間と努力なくしてこれらを得ることはむずかしいものです。
もう一つ身近な例として、美容外科医が自分が行った手術の結果が本当によかったかどうか、これにも相当の時間が必要です。
手術方法にいくら工夫を重ねようが、時間がたたないとその結果についてよかったのかどうか確信をもって言えることはできません。
将来、美容外科医として体力気力ともにピークを過ぎたとしても、それまでに積み重ねてきた経験が貴重なものになってくるはずです。
そう考えると、美容外科医として一番大事なことは、手術した患者さんをいつまでもきちんとフォローアップし診させていただくことということになります。
おそらく、今現役でバリバリ手術をしている美容外科医にとって一番軽んじやすいこと、それこそが一番重要になことになってくる、はずです。
今年もよろしくお願いします。
世界情勢を見ると不安定で混沌とした世の中に突入しているといえそうです。
人間は欲望のままに突き進んでいくと悲惨な結果になることをWWⅡでいやというほど学んだはずですが、戦争が終わって70年以上経過し世代が交代することでそろそろ悲劇を忘れた世代が世の中の大半を占めるようになってきたと考えられます。
人間はそれほど理性的な存在ではないことは明らかです。
人間の心の中に生じた「疑念」「不信」「保身」の感情は急速に「伝染」してそれをとどめることはとても難しいことと思われます。
悲劇への流れを変えることは、それほど簡単ではありません。
過去を振り返れば、個人はそういった国家間の流れを変えることを考えるよりも、国家から受ける個人の被害を最小限にすることを考えたほうが賢い選択と思われてなりません。
美容外科の診療で、理性をうしなった悲劇的な患者さんを相手にする場合、そういった患者さんに理性的になるようにさとすよりも、お互いに起こりうるさらなる悲劇を最小限にすることを考えたほうが現実的だということは、我々美容外科医の共通認識です。
困るのは、我々美容外科医がそのほかの大部分の理性的で良心的な患者さんに対してまで発展的な最良と思われる対応ができなくなり、結果的にそういった患者さんの不利益につながる可能性がでてくることです。
世の中にしても、美容診療にしても、こういった状況では、目を見張るような発展は望めないということがとても悲しく残念なことだということだけがはっきりといえることです。