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「美容外科医になるために」シリーズは、これから個人で美容外科クリニックを開業しようと考えているドクターを意識して書いています。

しかし中には、一生美容外科の勤務医で通すドクターもいます。

どちらがいいのか判断は難しいところですが、美容外科に対する考え方やドクターの性格にあっている道を選ぶのが一番です。

勤務医の利点は、経営に関する面倒な雑用(人事、宣伝、経理など)をしなくていいことがあげられます。

実際に個人で開業するとこういった雑用は尽きることがありませんし、むしろ経営が軌道に乗って規模が大きくなるほど雑用が増えます。

しかしこれは何も美容外科に限ったことではありません、ほかの科で開業しても同じことがいえます。

ほかの科では見られない「美容外科」独特の雑用とはなにか、それは今まで何度も書いてきましたが自費診療というただ一点に尽きると思います。

自費診療は、それまで形成外科などで勤務医をしていたような保険で地域医療をするのとはわけが違います。

この「煩わしさ」から解放されるのが「勤務医」の最大のメリットです。

逆にこれを「煩わしい」と感じないのであれば、個人で美容外科開業は十分可能です。

難しいのは、開業してから「煩わしい」と感じてしまうケースです。

そうなると開業して数年たってから「勤務医」に出戻り、となります(私の知っている限りでもこういう道をたどるドクターは結構います)。

個人で開業する前に、ほかの美容外科クリニックで勤務医を経験し、そこで自分自身が開業に向いているかどうか、特に自費診療から発生するいろいろな問題に対して自分自身が疑似体験することでそれを乗り越えていけるかどうかを真剣に考えてみることをおすすめします。

私自身、この問題をクリアーして開業に踏み切る前に6年の歳月を費やしました。

焦って開業する必要はないと思います。

美容外科の手術と形成外科の手術の決定的な違いは、術野を直視下にしない手術(ブラインド手術)があるかどうかです。

形成外科でブラインド手術というのはありません。

というか、美容外科以外でブラインド手術というのは基本的にありません(内視鏡手術でも実際は術野を直視下に近い状態で手術をしています)。

いってみれば手さぐり手術、というわけです。

医師の頭の中にある解剖のイメージを頼りに、手術器具から伝わる感触から正しい手術が行われているかどうか判断しながらの手術です。

考えてみると美容外科手術における手さぐり手術は、医師にとても高度な技量を要求しているわけです。

なぜなら、一応人間の体の構造(解剖)は万人に共通しているのですが、全く同じということはありえません。

バリエーションが存在していて、思わぬところに大事な血管や神経が存在しているケースは珍しくありません。

それらを全部経験することは不可能でしょうが、手術経験が長いほうが有利です。

したがってブラインド手術は、相当な経験がないと安心して手術をすることはできません。

それではなぜ、美容外科ではこの危険とも思えるような「ブラインド手術」がおこなわれるのでしょうか。

それは傷を目立たないように手術をしなければならないという、美容外科の根本的な前提条件があるからです。

残念ながら美容外科の手術で重大な事故のケースもこのような事情が深く関係しています。

美容外科医になるためには、それまでに長い外科研修期間が必要である、というのは当然のことだということをご理解ください。

外科研修や形成外科研修はすべて、美容外科手術をするうえで無駄とならないと考えることもできます。

形成外科の手術というのは、腹部外科や胸部外科、脳外科などとちがって、ターゲットになる器官が最初から独立して存在していないという特徴があります。

たとえば胃切除術は胃がターゲット器官ですが、そもそも胃は開腹すればそこに存在しています。心臓や脳にしても周りから独立して存在している器官です。

形成外科で扱う器官は、最初から独立して存在していないことが多く、頭の中でターゲットをイメージしてそれを周りから切り出すという作業が必要になります。

イメージするときに一番重要なのは、レイヤー(層)のとらえ方です。

手術中、今自分がどの深さで手術をしているか、これが美容の手術、特にフェイスリフトなど剥離を必要とする手術には特に重要です。

一定の深さをキープして剥離を進めるのは、思うほど簡単なことではありません。

その一番いい訓練になるのが、形成外科の手術であるといえます。

一定の層をキープして剥離する、これこそ形成外科時代に毎日のように行われる手術手技なのですから、一見美容外科と関係のない手術でも、のちにこれが大変役に立つということを知ることになります。

形成外科にはいろいろな手術があり、その全部をマスターするには長い時間かけて研修する必要があります。

しかし美容外科医になるためであれば、その全部に精通する必要はありません。

美容外科医になるために、どうしてもマスターしておかなければならない手術手技を具体的にあげます。

まずは「眼瞼下垂」に対する「挙筋腱膜前転固定術」です。

今や、形成外科の看板手術として、どこの病院で研修していても経験できる手術です。

特に挙筋腱膜の解剖を正しく理解する、しかもこの際、幅広い年齢の患者さんの瞼の手術を経験し、若年者の腱膜と加齢変化を起こした腱膜の違いをよく見ておきましょう、それが後々美容外科医になった時のまぶたの手術に役に立ちます。

美容外科医になってスキルアップし、他院修正の手術を引き受けるようになった時、たよりになるのは挙筋腱膜に関する幅広い知識と手術経験です。

ただし、間違えてはいけないのは、老人の眼瞼下垂に対する手術と若い患者さんの瞼の手術は全く違う手術ですので形成外科時代の感覚で若い人の瞼の手術をしてはなりません。

美容の手術はやはり見た目の改善を目的に手術を考えなければトラブルになります。

このあたりが、形成外科の手術は美容外科の手術にとって、必要条件であるものの十分条件ではない、という具体的な事例です。

他にも必要条件になりうる手術を今後少しづつ挙げていきたいと思います。

美容外科において、その圧倒的な集客(集患者)力では、チェーン店にかなうところはありません。

なんといっても宣伝量が違います(個人の小さなクリニックが同じことをしたら、すぐにつぶれてしまいます)。

形成外科の専門医をとってこれから美容外科の研修をしようと考えているドクターにとっては、一度でもこういったクリニックに籍を置いてみるのも悪くはないかもしれません。

美容外科のいい面やそうでない面だけでなく、ある意味日本の美容外科の問題点を考えるいいきっかけになります。

ただし、絶対に忘れてはならないのは、チェーン店において学ぶべきことを学ぶのはあたりまえですが、自分の納得できないことにどのように対処するかを決めておくべきでしょう。

彼ら(チェーン店のオーナーあるいは院長)には、彼らなりの考えがあります。

それが100%正しいわけでもありませんし、100%間違っているわけでもないのです。

その判断の基準は自分しか作ることはできません。

それが手術術式だったり、トラブルへの対応だったり、経営的なことだったり、スタッフとの関係だったり、宣伝の方針だったり、色々な面で疑問や食い違いが起こるわけです。

自分の判断で、自分にとって必要なものと思うものだけを身に着けるように割り切ることが重要です。

さらにいうならば、チェーン店の明らかに間違っている治療方針を正せるだけの実力を形成外科時代に身につけてから武者修行にでかけることができれば理想的です。

それが結局自分のスキルアップにつながるだけではなく、チェ―ン店のレベルアップにもつながり、ひいては患者さんの利益になるとも考えられます。

ミイラ取りがミイラになる必要はありません。

今朝一番のニュースは、錦織選手の決勝進出でした。

スポーツでの日本人の活躍を見るのは本当にうれしいものです。

20代で世界の場で活躍している日本人選手を見て、さらに若い10代あるいはもっと幼少の若者が、目を輝かして「僕も、私も」とあとに続こうとしているのを目にすると・・・うれしさを通り越して感動すらします。

美容外科界にも、若いドクターが魅力を感じるような環境を作っていく責任が我々にはあります。

手術を主体とした美容外科は、我々ドクターにとって非常に魅力ある科だとは思いますが、それと同じぐらい問題も多い科でもあります。

しかし、美容外科にはこれまで、それまで誰も思いつかなかった新しい手術が出てきて、常に新しいトレンドを生んできたということがあり、それがこの科のほかにはない特徴であるともいえます。

そこには患者さんの「美」に対する飽くなきまでの追求とそれに突き動かされてきた我々美容外科医の不断の努力があったからだと思います。

これからもその流れに変わることはない・・・・The sky is the limit !

これからの美容外科医には、形成外科の研修と専門医が必要ということを述べてきました。

形成外科専門医をとったからといって、すぐに美容外科ができるわけではありません。

形成外科ではあまりやらない美容外科「独特」の手術はとても多いからです(むしろそれがメイン)。

実際に形成外科の専門医をとったあと美容外科研修をするにはどうするか・・・、それについてはドクターのおかれた環境でかなり異なってきます。

たまたま美容外科が標榜されている病院や大学病院に働いていれば、そこで研修できるので好都合です。

しかし、現状はこういった公的な病院で美容外科の研修をすることはほとんど不可能です。

あったとしても形成外科の中でちょこちょこした美容外科「的」な手術を経験するのが精いっぱいです。

美容外科の醍醐味?は、やはり市中の開業医レベルのクリニックでないと体験できません。

美容外科の醍醐味といってもいろいろあるのですが、重要なのは形成外科の患者さんと美容外科の患者さんでは医療に対する要求レベルが根本的に違うということです。

このことは大きな病院の形成外科に勤務医として働いているだけではなかなかわかりません。

そうかといって小さな開業医のクリニックでは症例も限られてくるために、研修には不十分です。

そこで考えられるのが、意外にも全国にチェーン展開している美容外科を研修の場として利用するという手です。

彼らの集客(集患者)力は、小さな個人クリニックはもちろん大学病院などでも太刀打ちできません。

ここに指導体制さえ整っていれば、研修するのには最適なのですが、そこには難しい問題が横たわっています。

詳しいことは次号で・・・。

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