以前にも何度か書きましたが、美容外科に限らず情報があふれている時代になりました。
プロの目から見てどう見てもおかしいと思う治療が流行ったり、逆にしっかりした治療法なのにごく一部の勘違いした人によって間違ったとらえ方をされてしまったり、とにかくカウンセリングをしていて困惑することが日常茶飯事となっています。
とくにネットでしか情報が得られない人にそういった傾向が強いように感じます。
対処法は・・・情報発信源がしっかりわかっている情報だけを信じる(他の患者さんのブログを鵜呑みにするのは危険です。悪気はなくてもその人が正しい情報を発信しているとは限りません)ことです。
クリニックにはメール相談だけでなく、必ず直接医師と向かい合って、納得できるまで相談することが重要です。
こんな当たり前と思われることをきちんとしないで、いい結果など得られようもありません。
ネット上のいい評判、悪い評判のどちらも「なりすまし」「同業者の嫌がらせ」などであふれていてあてになりません。
うちのクリニックでは、患者さんを間接的にだますことになる「ネットでいい評判を書き込む業者」からの誘いも相変わらず多いのですがすべて断っています。
また患者さんを契約クリニックに紹介する「情報センター」とも契約はしていません(不思議なことに契約していないにもかかわらず患者さんを紹介してくださる善意の紹介業の方もおられるようです・・この場をお借りしてお礼申し上げます)。
美容外科を志している仲間にそういった不正をするものがいるとは信じたくありませんし、逆に正直者が馬鹿をみる世の中だけは見たくありません。
3月が終わり、この4月から新しい人生のスタートを切る人もたくさんいると思います。
特に大学受験生には、希望した大学に入学できた人、失敗して浪人生活を始める人、残酷なほど明暗がはっきり分かれる季節でもあります。
大学受験に落ちてしまった人はさぞ悔しい思いをなさっていることと思います。
ただ長い人生のなかで1年や2年遠回りしたところで心配いりません。
どうかこの経験を生かしてこれからの1年間を無駄にせず来年こそは栄冠を勝ち取ってほしいと思います。
ここで浪人生活を始める人に一言言わせてください。
合格不合格を分けるのは実はほんの少しの小さな差なのです。
しかしスタートラインでの「ほんの小さな差」は1か月、2か月と時間が経つにつれ徐々に広がっていきます。
その「差」とはなにか・・・。
それは学問に対する姿勢の違いが解っているかどうかです。
建前論に聞こえるかもしれませんが、高校までは周りから勉強のレールを引いてもらってそれに沿って勉強すればよかったのですが、大学からは自分からテーマを見つけ自ら考え答えを探していく力が必要になります。
そういった大学での学問に必要な実力を身に着けているかを見極められるのが大学受験です。
高校での勉強と大学で必要な実力は、見た目は同じ様にみえても中身はまるで違います。
たとえて言えば「パック旅行」と「自由旅行」の違いです。
パック旅行で何度も外国に行った人が、将来自分で自然に旅行の計画を立てて自分だけの「自由旅行」ができるようになるでしょうか。
逆に一度でも自分で1から旅行の計画を立ててすべての手配を自分でしたことのある人は、行き先にかかわらずそのあといろいろな旅行をすることができるようになります(もちろんパック旅行も)。
大学ひいては社会に出るようになって一番必要とされる「自分で考える力」を養えるような勉強をしておくことが一番の近道になるのです。
今年大学受験がうまくいかなかった人は、こういった勉強をしてきたかどうか、今一度じっくり振り返ってみてから新たにスタートしても遅くはありません。
早いもので3月も終盤。
来月4月3日から東京で「日本形成外科学会学術集会」が行われます。
初日にシンポジウム「老化顔貌に対する非侵襲的治療戦略」というセッションがあり、そのシンポジストとして発表する予定です。
いつものように2週間前ぐらいからその準備に取り掛かっています。
今までにも似たようなテーマで発表しているので今更新しいものを準備することもないのですが、せっかくのシンポジウムですのでしっかりしたプレゼンテーションをしたいと思っています。
しかしこの「非侵襲的治療戦略」というテーマには当初から違和感を強く感じていて、準備を始めてみるとさらにこの思いが強くなってしまいます。
会長先生の御意向ですから意義を唱えるつもりは毛頭ありませんが、非侵襲的治療などというものは存在するのか、という疑問があります。
どのような治療でも多少なりとも「侵襲」はつきものではないのか、という思いです。
正確に言えば「低侵襲的治療」ぐらいが適当なのでは?とおもうのですが・・・。
さらに、このテーマを侵襲の少ない治療と考えるならば、「同じ効果が出る」という前提で今までの治療より「侵襲」が少ない治療方法を発表しなさい、と理解すべきだと考えています。
そうでなければ、侵襲が少なくても「効果も少ない」治療の発表でOKになってしまいます。
笑い話みたいですが、美容医療にはこんな話、日常茶飯事です。
「低侵襲治療」そのものを否定するわけではありませんが(むしろ最近ではこちらの治療にウェートが移ってきています・・・)、「低」には本来比較的な意味があるわけでその効果についてもどれだけのものかきちんと言及しなければ、公平ではありません。
「同じ効果」を保ちつつ、より「侵襲が少ない」治療は我々がもっとも望むものだと考えるわけです。
前回の記事で書いた「社会に出て一番大事なこと」は、もちろん医師にも当てはまります。
以前にも書きましたが、実際に医療現場で一番大事なことは医師自身が問題点を見つけそれを自力で解決していく姿勢です。
医療現場で経験する諸問題には正解があること自体むしろ少なく(一般社会でも同じですが)その問題に立ち向かうには、深い思考力とその過程において常に感じる不安にまけない強靭な精神力とその結果に対する正しい分析力が必要なのです。
ところがこういった医師に必要な資質がその人にそなわってぃるかどうかを評価するのは医学部に入る大学受験のときしかありません。
医師国家試験は思考力を見るというよりは、医師に必要な基礎的な知識が備わっているかどうかのチェックの機会です。
そのように考えると、医学部の入学試験(2次試験)に必ず「数学」が含まれていて、内容も非常に難しいのは当然といえます。
他の学部では就職の段階で問われることが、医師には入学試験以降ほとんどないからです。
久しぶりに今年の医学部の受験問題を解いてみて、受験以来35年間一度も遭遇しなかった三角関数や2次方程式の問題をなぜ入学試験で解かなければならなかったか、それが今となってようやくわかりました。
メディアで取り上げられていた話題で、なるほどと思いました。
就職率が極めて高い大学のある教室の教授の話です。
その指導の中心は、社会にでてすぐに役に立つ体験学習を取り入れていました。
具体的には、学生自身に考えさせる機会を、実際の会社などに赴くことで体験を通じて学生に与えていくというものでした。
今の20歳前後の世代はいわゆるゆとり教育世代といわれていて、小学校中学校では体験学習を中心に「つめこみ」ではなく生きた学習をしてきたはずです。
ところが逆に大学生になっても手取り足取り学生に考えさせる機会を与えないとこういったことができない、といった問題を感じました。
子供の教育にゆとりを与えると残念ながら大人の期待とは違って、かえって自分自身で問題点を見つけてそれを自力で解決していく、といったことをしなくなるのではないかと思うのです。
我々の世代と今の世代の大学受験で一番大きな制度的な違いは、大学入試センター試験です。
ちょっと興味があって初めて今年のセンター試験を自分で解いてみました。
数学を解いてみて感じることは、内容は基本的なことが理解できているかの確認程度のレベルで、35年ぶりの私でも十分正解できました。
しかし出題者の意図にそって迷うことなく回答して行かないとこの制限時間内に全問正解するのはむずかしいと感じました。
問題を解いているあいだじっくり考えている暇はほとんどなく、いかに問題を早く処理していくかという能力が問われていることがわかりました。
ゆとり教育世代はもしかすると我々の世代よりもはるかに「ゆとりのない教育」を受けてきているのかもしれません。
年初に導入した「ウルセラシステム」について、ひと段落しましたのでその効果などについて振り返ってみました。
結論から先に申し上げますと、ウルセラシステムは「切らない」かつ「腫れない」たるみ治療器の最高峰です。私のような治療の結果に厳しい美容外科医から見ても効果を感じずにはいられませんでした。
導入してから2か月半で20人弱の人が顔全体の施術を経験され、効果をお聞きしたところ、不満足だったという人は一人もいませんでした。
細かく見ていきますと、施術後1か月の時点ですべての患者さんにおいて、主観的かつ客観的にフェイスラインの改善を見ることができ、それ以外の部位の改善、たとえば「法令線」などにはあまり効果を感じた人はいませんでした。
4分の一の患者さんは「サーマクール」と同時照射でしたが、フェイスライン改善の効果はさらに顕著でした(客観的かつ主観的に)。
術前に多くの患者さんから「施術時の痛み」についての心配の声が聴かれましたが、施術後のご感想は「顎周りの痛みはあるものの我慢できないほどではない」とのことでした(今回一人の患者さんを除く全員に冷却などの痛み予防は行い、おひとりの方にご希望で静脈麻酔をおこないました)。
サーマクールと同時照射の患者さんからは、ウルセラシステムよりもサーマクールのほうが痛い、という御感想でした。
施術後の腫れ、皮膚の発赤などを訴えた患者さんは皆無、術後数日間顎周りに軽い鈍痛を感じた程度というものが一番多いご感想でした。
以上がウルセラシステムを受けられた患者さんのまとめになります。
こういったいわゆる「切らない腫れないたるみ治療」については、以前から、客観的な効果を出すのは非常に難しい(主観的なタイトニング効果は認めらるものの)というのが私の考えでしたが、とうとうこの考えを覆される器械が登場した、といえそうです。
画面から皮下のSMASなどを見ながら治療できる点でも、皮下のどこにエネルギーが入っているかがわかりやすく、使っていても非常に楽しいと思える治療でした。
今後の展開としては、追加照射による効果アップについて、さらに皮下の浅いところに焦点ができるトランスジューサーの効果についての検討と、もう少しマイルドなRF(高周波)との併用で効果アップと痛み軽減の試み、などが検討課題だと思っています。
まぶたの手術の料金表を一部改訂いたしました。料金表はこちら。
先週の日曜日、大阪のセミナーに参加してきました。
セミナーのテーマは「痩身マシーン」についてでした。
このブログでも以前からお伝えしているように、ここ1年ぐらいずーっと最適な「痩身マシーン」を探してきました。
今回のマシーンは、去年の秋の学会から気になっていた器械で超音波で脂肪を減らしていくものです。
その後残念ながらその器械の情報が手に入らず棚上げ状態になっていたのですが、やっと詳しい話が聞ける機会がやってきたのでした。
かなり痩身効果の高い器械で導入予定の有力候補と位置付けています。
導入が決まりましたらすぐにブログなどでご報告しますので、チェックをよろしくお願いします。
昨日は東京でまたまた新しいたるみ治療器のデモが知り合いのクリニックであるとのことで見学に行ってきました。
従来のレーザー系のたるみ治療器に比べるとやや侵襲が大きい気がしましたが、以前のレーザーに比べて色々なところが改良されているところが魅力でした。
最近こういった美容器械の情報に触れる機会が多いのですが、美容手術と違って入れ替わりがかなり早く情報源をしっかり持って実際に自分の目で素早く確実に効果などを判断して行かなければいけない、ということが大事みたいです。