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ある人が、普段からこういう鼻が気に入っていてこうなりたいと秘かに思っていたとします。

実際にその鼻になってみるときれいになったはずなのにかえって落ち着かない、自分の鼻じゃないみたいで違和感がする、会った人がずっと自分の鼻を見ているような気がする、など術前には思いもよらなかった気持ちになる患者さんがいます。

それほど珍しくはありません。その理由は前回書いたとおりです。

そうかといって、術前に戻すのももったいないし、修正もかなりむずかしい、何回も修正をしているとだんだん皮膚が傷んで決してよくはありません。

そういった意味では、術前に少しでも迷いがあるなら一度ヒアルロン酸注入をシミュレーションを兼ねてやってみるのも悪くはないと思います。

鼻を低くするのはできませんが、高くしてみて調子がいいなら手術に踏み切るという手もあります。

ただしこれも何回も繰り返していると、だんだん吸収されにくくなるのと鼻根部に打った場合は幅が広くなってしまうといったことが起きます。

鼻の修正術の内容には、鼻根が、高過ぎ、低すぎ、プロテーゼが曲がっている、下がっている、透けている、鼻尖が、上を向いている、下にたれている、まがっている、太い、細い、丸い、鼻翼が張っている、下がっている、全体をみて鼻が短い、長い、太い、細い、低い、高い、ごつい、小さい、など言葉で表現しきれないほどです。

鼻も瞼と同様、一人の患者さんで修正内容がいくつも重複しているのが普通です。

それを踏まえたうえで修正手術に臨むわけですが、鼻の修正手術の複雑な面がもうひとつあります。

気に入った鼻であることを判断するのに必要な角度が無数にあることです。

たとえば鼻を見るときの角度には横方向・縦方向だけでなく、真横、斜めやや横、斜め、斜めやや正面、正面と考えていくと横方向で9方向、縦方向も同様に考えて9方向、合計で81方向あるとしましょう。

通常手術中に確認できるのはそのうちせいぜい6方向ぐらいですので、この角度でOKだったとしてもそれ以外の75方向の確認はできません。

手術が終わると患者さんは日常生活のなかでとにかくご自分の鼻をありとあらゆる角度で見るようになります。

さらに以前書いたように、いろいろな表情の中で鼻を確認しようとするわけです。

手術中に見て気に入っていただいた鼻でも家に帰るとなんだかおかしな鼻に見えてくることがある理由はここにあります。

6方向でOKでも残りの75方向のうちでどれだけ気に入った鼻になっているか、さらにいろいろな表情のなかでも鼻に違和感がないか、それが問題なのです。

鼻の手術にはこういった難しさがあり、それに対応できるように我々も心して臨むようにしています。

美容外科の面白いところは、新しいことに気付かされることが結構あることと時々それが患者さんから教えてもらえることです。

以前も書きましたが、たれ目にする手術は若い女の子の雑誌が火付け役で、我々もそれを手術で実現することになった経緯をお話ししました。

最近では似たような話に鼻の下を短くするというのがあります。

以前から鼻の下を短くする手術はありましたが、その手術の名前(リップリフト)からもわかるようにどちらかというと若返りの手術というとらえ方をされていました。

ところが最近では若い女性からのリクエストにも鼻の下を短くしてほしいというものがあります。

50歳を過ぎたおじさんにはとても思いつかない発想でしたが、それを聞いてからというもの、テレビで見る女性タレントの鼻の下の長さが気になって仕方がありません。

そしてその目でみるとここが短い若い女性タレントが結構いることに気付きました。

さらに、そのほうが結構かわいく見えるものだということにも驚いてしまいました。

一体全体、いままでかわいいといわれている女性タレントの顔のどこを見ていたんだろうと思いました。

ただし実際にはこの手術の場合鼻の下を切って縫い縮めるという荒業系手術になりますので、くれぐれも十分説明を受けたうえで決断されたほうがよろしいかと思います。

術後の傷跡についてはこちらを参照。

前回、瞼の修正では挙筋機能と挙筋腱膜の状態をチェックすることが重要である事を申し上げました。

そしてこれらが車でたとえるとそれぞれエンジンと動力伝達機構であることもわかっていただけたと思います。

車の免許を持っている人ならご存知だと思いますが、この動力伝達機構にはマニュアルとオートマチックがあります。

マニュアル車はギアでエンジン側とタイヤ側を直接つながるので回転力のロスが非常に少なくなります。

一方オートマ車はトルクコンバーター(伝達を流体で行う)で伝達がおこなわれるので非常にスムースなのですが、マニュアルよりも力の伝達にロスが生じます。

一般的にオートマよりマニュアルのほうが燃費がいい理由はそこにあります。

さて本題ですが、瞼に開瞼力が伝わる要は挙筋腱膜が瞼板につながるところです。

通常、ここは直接つながっているわけではなく非常にルースなつながり方をしていて、車でいえばオートマなのです。

したがってここの状態によってはいくら挙筋が働いてもその力が有効に瞼に伝わらないことがありうるわけで、これが腱膜性眼瞼下垂状態と考えられます。

ここまで理解できれば、瞼の修正手術ではまず腱膜と瞼板の関係を調べ、これが緩い場合は固定する、車でいえばオートマをマニュアルに変更するということが必要になることがわかると思います。

車がわからない人には非常に分かりにくい説明で申し訳ありません。

昨日の続きです。

いろいろな問題が起きてしまった瞼の修正手術についての考え方です。

なぜ瞼の開瞼状態の改善が第一なのかをたとえ話でお話しします(それがかえってわかりにくかったりしたらごめんなさい)。

瞼を一つの車と考えます。

開瞼する原動力は車でいえばエンジン(モーター)です。

開瞼が上手くいかない瞼は、エンジンの状態がよくない(つまりよく走らない)車と一緒です。

いろいろな不具合がある車(窓があかない、ボディーが凹んでいる、ライトがつかない、タイヤがパンクしている、バッテリーがあがっている、などなど・・・)を修理する場合、まずはエンジンがかかって走らなければ、それ以外の部分をいくら修理しても意味がありません。

走る、ということはエンジンが正常に回る(挙筋が正常に動く)ということと、その力が正常にタイヤに伝わる(腱膜を介して瞼に伝わる)ことが重要です。

つまり瞼でチェックしなければならないのは挙筋の機能と挙筋腱膜の状態であるといえます。

この二つのうちどちらか、あるいは両方に不具合がある瞼の修正手術では、これを真っ先に治さなければいけません。

ここを理解せずにむやみに修正手術をしても、全体としていい方向に向かうのは非常に難しいでしょう。

いままでに何度も書いてきましたが、修正手術は本当に難しいものです。

鼻の修正に悩まされたことは以前書きましたが、瞼の修正も難しいことが多々あります。

他院で行われた「眼瞼下垂」や「切開重瞼」の修正が多く、ときに患者さんとともに我々も泣かされることがあります。

修正の内容は「左右差」、「重瞼ラインの乱れ」、「重瞼ラインの不自然さ」、「目の印象が変わりすぎ」、「重瞼ラインの消失」、「瞼があかない」、「瞼が開き過ぎる」など実際に修正した症例の症状を挙げだすときりがありません。

さらに修正手術を難しくする理由のひとつに、これらの症状が通常2~4個以上重複していることが挙げられます。

そういった症例の修正の場合、最初にどうしても治しておかなければならないものを第一優先にして手術を考えます。

その時にまず最優先するものは、開瞼状態の改善です。

開瞼状態の改善とは、開瞼幅の改善、開瞼幅の左右差の解消、開瞼した時の瞼の形の改善、などです。

これらが改善されていない状態で、重瞼ラインを改善したり修正しようとするのは「砂上の楼閣」を築くのと同じです。

逆に開瞼状態が問題ない場合、その他の瞼の修正は比較的結果の予測が立ちやすいものです。

こういったことから瞼の修正手術を考えるときは、修正手術そのものが複数回になってしまうことがあるのだということをご理解いただけると思います。

術前のカウンセリングではこのことは必ず申し上げますので、ご了承ください。

人の顔は表情によってずいぶん変わるものです。

術前の患者さんへの説明で、このあたりの事情についてお話しすることがあります。

たとえば「二重の幅を何ミリにしてください」というご要望があったとして、「はいわかりました」とはいえないのです。

二重の幅とはいったいどこのことなのか。

睫毛から二重の折れ返るラインまでの距離であればこれは比較的正確に出すことができます。

しかし通常は二重の幅といえば目を開けた時の睫毛から二重のライン(見かけ上の二重)をさします。

もしそうだとすれば、顔をまっすぐにして正面を向いて遠くをぼんやり見ている時の午後以降の状態で写真を撮ったときの二重のラインの幅、といえば再現性があるかもしれません。

ちょっと顎を引く、何かを凝視する、昨日飲み過ぎたなどの条件で二重の幅などは1~2mmは簡単に変わってしまいます。

表情でそれほど変わらないと思われがちな鼻でもそうです。

笑えば鼻は長く見えるし、つまらない顔をすれば鼻の下がながくなりその分鼻が短く見えるかもしれません。

若返りの手術を受けた後、無表情であれば目元が若く見えても笑うと目元がひきつって怖い顔になったとおっしゃった患者さんも拝見したことがあります。

厳密に言うとどんなときの表情でどんなシチュエーションのときにどんな顔になりたいか、というところまで限定しないと美容の手術の結果は予測できません。

「間延び顔」はまだ美容外科医の中でもはっきり認識されていませんが、その目でみるとそれほど珍しくはありません。

問題は、それを可愛くする方法があるのかということです。

骨ではなく骨以外の組織(軟部組織)が長い場合、顔の中1/3を縦に短くする方法があるのか、という問題です。

まさか頬を横に切って縦方向に短くすることなどできません。

そうすると間接的に短くするか、錯覚で短く見えるようにするしか方法はないと思います。

実際に今まで行ってきた手術には、下まぶたを下げる、頬を丸く前に出す(中高の顔にする)、口角を挙げる、鼻の下を短くする、フェイスリフトで頬を垂直方向にあげる、シルエットリフトでチークファットパッドを挙上する、脂肪吸引と脂肪注入で頬のピークを上に挙げる、などです。

その結果、確かに術前より可愛くなったと感じることができます。

ここで賢明な方は気づいておられると思いますが、この顔は「笑顔」をつくったときの顔と同じになります。

笑顔が可愛い、というのは間延び顔が改善されることでそう感じるのだとも考えられます。

笑顔が魅力的というのは理論にも正しいということがわかります。

女性で好ましい顔を定義するのは結構難しいことです。

この点がよければ必ずかわいらしい顔に見える、というポイントがあれば(それがたとえ複数であっても)美容外科医にとって非常に助かるのですが、なかなか難しいものです。

目については、ぱっちりしていたほうがポイントが高くなるようですが、鼻については立派な鼻はポイントを落としてしまうことのほうが多いようです。

逆に低い鼻、小さな鼻がポイントが必ず高くなるかといえばこれも微妙です。小さな鼻が可愛いらしい印象になることもありますが・・。

目・鼻のように比較的目立つ部分でも「この場合は絶対にかわいく見える」というポイントを絞るのが難しいのですから、それ以外の部分はもっと美醜の定義は難しいと考えられます。

最近患者さんからの要望や美容外科医の話題に上ることで意識しているのが、いわゆる「間延び」顔です。

目・鼻は整っている、顔も小さい、口も整っているのに、なにか顔のバランスがおかしい、という人の中にこれが見られます。

こういった人は、確かに目の下~頬~口元にかけてたてに長い印象の顔の持ち主です。

顔中1/3が大きい若しくは長いといってもいいと思います。

これに対してルフォー骨切りを考える美容外科医がいます(ルフォー骨切りというのは簡単に言うと上顎の骨を横にぬいて縦方向に短くする方法です)。

上顎の骨が長い人(いわゆる馬面や、ガミースマイルになる人の一部もこれに含まれます。)には、これが絶対適応ですが、間延び顔の人はそれとは少し違っています。

むしろ骨に対して顔中1/3の軟部組織が長い人が多いのです。

したがってこういった人にルフォー骨切りをすると逆効果になります。

話がながくなるので続きは次回です。

カウンセリングの時に、我々医師と患者さんの手術に対する根本的な考えのギャップを埋めることが難しいことがあります。

手術そのものの説明はできるものの、術後どのように経過し、どんな変化が、いつ起きるか、といったことを説明し理解していただくことに非常に苦慮します。

我々医師は、人体に損傷が起きたときに(手術は人体にとって損傷以外の何物でもありません)生体はどのように反応し、それが時間とともにどのように変化していくか、その結果はどのようなことが起きるか、それに影響する因子は何で、それをどのようにコントロールできるか、について何十年も教科書や講義で学び、臨床現場で実地に学んできています。

一方患者さんは、美容の手術全般はおろか人体の損傷に対する反応についての知識はほとんどないところから理解を始めていただくことになります。

何事もなく無事に終わる手術であれば(美容の手術の大半はそうですが・・・)、ここまでの理解は実際には必要ありません。

ところがそうでないケースでは(修正手術が代表ですが)、どうしても患者さんの手術に対する理解を深めていただいてそのうえで協力していただくことが必要になるのです。

その時に患者さんにとって一番大事なことは、『「手術」というものは、手術日に行われる手術だけではなく、手術とその術後の経過を含めたものが「手術」である』ということを理解していただくことです。

うちのクリニックでは、手術の説明はもちろんですが、術後の経過についていろいろな状況を想定して詳しく説明します。

患者さんの中には手術そのものの知識は大変豊富な方がいますが、術後の経過については知識ゼロという方がほとんどです。

修正手術の結果はすぐに出るものとさえ考えている患者さんもいます。

術後の経過についての知識こそが、我々医師だけが長年の経験を積んでやっと理解できるものです。

患者さんがカウンセリングを受けられるとき、あるいは術後の説明を受けられるときに一番注意して聞いておかなければならない点はここなのです。

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