今朝のニュースで軽い驚きと困惑を感じました。
それは日本全国の「医師不足」についての調査結果でした。
地域格差と、各科についての格差に分けて結果が報告されていました。
地域格差については昔から言われていることなので驚くことはなかったのですが、各科の医師充足度についてはある程度は予測していたもののこれほどはっきりと結果が示されたのは今回が初めてだと思います。
一番足りているのは、形成外科、次に美容外科、3位が小児外科でした。
美容外科はその需要のはかり方で結果も簡単にかわってしまうものかな、と思いましたが、形成外科がこれほど充足しているとは・・。(他科に比較すると充足してはいるものの絶対的には不足しているのですが・・)
25年前、私が形成外科に興味を持って入局した理由の一つに、同級生で誰も行く人がいなかったから、というのもありました。
そもそも私の出身大学には、形成外科の医局すらなかった時代です。
25年で医療状況がこれほど変わってしまったことに驚きが隠せません。
25年前にもどってもう一度最初からやり直せたとして再び形成外科・美容外科をめざすかどうか、私の場合おそらく大部分の医師が興味を示さない他の科をまず第一に考えるのでは、と困惑しています。
フェイスリフトの手術で、SMASによる手術は一般的になってきました。
SMASという筋膜を弁状におこしてひっぱりあげると口周囲のたるみがよくひきあがる、これがSMAS法の魅力です。
多くの美容外科クリニックでこの方法によるフェイスリフトが行われているとされています。
今日も他クリニックでこの方法の手術を受けた、という患者さんが来院されました。
思ったほどのリフト効果がなかった、とおっしゃるので「手術時間は何時間でした?」とおたずねすると「両方で1時間でした」とのことでした。傷を見てもとても小さな傷でほとんどわかりません。
この手術の経験のあるドクターならきっとわかるでしょうが、小さな傷で片側30分という短時間でSMAS法をすることは神業に近い手術です(この場合、神業≒不可能という意味でお話しています)。
以前にもこのような患者さんが来院され同じような訴えを聞きました。おそらく本当のSMAS法とはずいぶんちがう手術が「SMAS法」と称して行われているようです。
驚いたことに、この患者さんは抜糸以後、術後の検診に来るように言われたことがないそうです。ここで「あ~、なるほど」となりました。
真のSMAS法によるフェイスリフトは、手術時間を尋ねることと術後の検診の有無で簡単に見分けることができます。
美容外科学会を来週に控え、先週学会会長から直々にメールが届きました。
内容は「先日の美容外科学会機関誌に掲載された先生の論文がよかったので、今回の学会でもそれについて追加発表をお願いします」というような内容でした。
もちろん光栄なことですので即お受けしたのですが、もうすでに2演題の依頼が来ていてその準備の真っ最中でしたのでさらなる準備が必要ということで今週末はずっと家にこもってひたすら学会準備に明け暮れていました。
追加発表は「スレッドリフト」についてのパネルディスカッションです。
当方の得意とするのは「シルエットリフト」でミッドフェイス用に改良したものですので、今回もその内容で発表しようと思っています。
準備のほうは、去年とちがって体調を崩すこともなく順調に仕上がっていますが、直前まで油断することなく万全の準備態勢で臨みたいと思っています。
世の中には、やっていい「喧嘩」とやってはいけない「喧嘩」があります。
やってはいけない「喧嘩」とは、相手が自分と違いすぎる場合です。
とくに、どうみても相手が無茶な要求をする種類の人間である場合に、理詰めの対応をするとえらいことになります。
巷の縄張り争いでも、相手側に潜在的な強い力がありこちらの常識が全く通じない相手がもっともたちがわるいのです。
さらにこういった相手に吹っ掛けられた「喧嘩」は幕引きがとても難しいものです。
したたかに幕引きまで考えて「喧嘩」を始めないと相手も引っ込みがつかなくなり、お互いに深く傷つくことになり将来への影響も長引きます。
今の日本(政府)に言いたいことは、相手を見て喧嘩をするのかしないのかを判断すべきだったということと、今回一番まずい相手に、一番まずい形で喧嘩をふっかけられ、一番まずい形でこじらせて、一番まずい形で喧嘩をおわらせてしまった、ということです。
今後のことが心配です。
最近、堅い話が続きましたので、今日は軽いお話です。
以前に「懐かしのメルクリン」という記事で趣味の「鉄道模型」のことを書きました。こちら。
「鉄道模型」はホビーの王様といわれています。
それはひとつの趣味にもかかわらず、いろいろな楽しみ方があって尽きることがないからです。
そのひとつに「スケール」の違いからくるいろいろな楽しみ方があります。
日本で一番普及しているのは軌道幅が9mmの「Nゲージ」という大きさの鉄道模型です。世界的にはそれが16.5mmの「HOゲージ」(もしくは16番ゲージ)が一番普及しています。
この違いは日本の住宅事情からくるようです。線路幅が狭くなれば、6畳ほどの広さでエンドレスの線路が十分配置できます。
私の場合は以前からいわゆるHOゲージでそろえていたので(そのあたりの事情は以前の記事を参照してください、幼少時のトラウマ?)、エンドレス軌道で楽しむことは結構大変です。
ところが最近興味を持ち始めたスケールがOJゲージ(あるいはOゲージ)という線路の幅がさらにひろい(24mm)スケールで、このレベルになるとかなりマニア色が濃くなります。
一度このOJスケールの模型を見てしまうと、それまで大きいと感じていたHOスケールがとても小さく見えてしまうのです。早い話が「物足らない」と感じてしまうのです。
今後このスケールに移行したいと考えていますが、お値段のほうもひとつの車両をそろえるだけで経自動車1台かえてしまう程のキングサイズです。
世の常だが、ある組織が情報閉鎖体質であった場合、いい時はいいが、一端崩れだすと崩壊のスピードは非常に速い。
崩壊の発端は、大半が「内部崩壊」。またまたその発端はその組織の中に「うそ」があり、「隠ぺい体質」があるということ。
ある組織の体質を判定するとき、こういった観点で見ればまず間違いがない。
間違いがない組織とは、やはり「誠実」であることを第一に考えている組織であろう。
ところがこの「誠実さ」こそ、一番守るのにむずかしく、見えにくいものだ。
優先順位からみるとどうしても後回しになりがち、外から見ると一番目立たない、またそのように理解されるのにとても時間がかかる。
美容外科業界もけっして例外ではありません。
日ごろ診療していて、一番残念に思うことがあります。
それはカウンセリングの無断キャンセルです。
患者さんの御都合もあると思いますので急に来院できなくなることもあるでしょうが、せめてその時は電話の一本でもいただけるとありがたいです。
最近は前日に必ず確認の電話をいただくようにしていますので以前よりも減ってはいるのですが、それでも1カ月に数人の無断キャンセルがあるのです。
カウンセリングは原則無料ですが、我々にとっては非常に貴重な時間を割いていますのでこのようなことのないようにお願いします。
ところで今月いっぱいで八事石坂クリニックも丸2年が経過予定、そして来月からは3年目に入ります。
3年目ということで今までの診療体制や手術価格などの大幅な見直しを考えているところです。
もちろんカウンセリング重視、アフターケアの充実、の基本方針は変わることがありません。
これからもよろしくお願いします。
久々に早朝にブログを書いています。
民主党党首代表選が近づいています。
菅・小沢立候補の一騎打ちになっていますが、常識的に考えればどちらが代表になるべきかは明らかであると思います。
むしろ現首相がこれほど苦戦を強いられることに深く考えさせられます。
ことの発端は先の参議院選の大敗にあると思われます。さらにいえばそれを前にしての「消費税率アップ発言」あたりから人気が降下するきっかけになったように思います。
消費税率に関しては近々上げなければこの国が持たないことはほとんどの国民は理解していると思うのですが、いざ具体的な話を為政者に言及されると途端に現実逃避現象が始まる、そんな気がします。
「自分にとって不都合なことは避けられないことはわかっちゃいるが、いざ具体的に言われるといやになる」
美容外科のカウンセリングも・・同じです。
手術前の説明にはどうしてもリスクの話をしなければならないのですが、じつはこの話をするとほとんどの患者さんは手術の決心が鈍るのです。
これが美容外科の手術でなければ、患者さんに手術回避の選択はほとんどありません。しかし美容外科の場合、手術をやめる選択はとても簡単です。
手術前にリスクを話さない美容外科医がいる理由はここにあります。そしてそういった「方針?」の美容外科クリニックのほうが確実に流行ります。
患者さんは人ごとの段階では、「そんなバカな・・、術前にきちんと話をしてくれるほうがいいに決まっているじゃない」と言えるのですが・・
いざ自分のことになると「そんな怖いこと言わないでほしい・・そんなこと言うから怖くなっちゃたじゃないの・・怖いから手術は見合わせようかしら・・」と決心が翻るようです。
毎日のカウンセリングで日常的に出会う風景です。
今朝、日本美容外科学会総会(10月7日、8日、京都)の抄録集が送られてきました。
なかなかの発表数と盛りだくさんの内容でとても楽しみです。
私の発表は、レクチャー「小顔にしたい」とモーニング経営セミナー「私はこうして開業した」の2題を発表する予定です。
現在、この2題の発表の準備中で、そろそろ忙しくなりそうです。
なかでも、モーニング経営セミナーは有料で視聴者の数も限定されるそうなので、期待にこたえられるような内容にしないといけないというプレッシャーがかかっています。
対象は、これから美容外科で開業しようと考えている勤務医ですので、自分が開業した2年前を思い出して内容を考えています。
話の中心は、自分の開業スタイルとポリシーについて少し触れた後、開業前にやっておいてよかったことをできるだけ具体的にお話していこうと思っています。
別の話で患者さんには直接関係のないことですが、日本美容外科学会会報の最新版に私の論文が掲載されました。
同業者の方、機会があればぜひご覧ください。
思い返せば、この論文の内容も去年の日本美容外科学会総会(横浜)で発表したもので、当時のとてもつらかった学会を思い出しました。当時の記事はこちら。
今回はこのようなことがないように早め早めに準備をしようと気ばかりがあせる今日この頃です。
最近あるドイツ車の宣伝に「Das Beste oder nichts」という言葉が盛んに使われるようになりました。聞いたことがある人も少なくないのでは・・。
この車メーカーは以前からこの標語をカタログなどに必ず載せていました。今のようにそれを宣伝につかう、ということはありませんでしたし、その時は「最善か無か」という日本語の訳をさりげなくつけていたと記憶しています。
ここのメーカーの車を保有するようになってから3台目、20年近く経ちますが(ちなみに私の性格はこの車とあまり合わないので、最近はもっぱら奥様用になっています・・)、乗り出した当時は本当にこの車づくりのコンセプトに深く感銘を受けたものでした。
乗っていてもボディ剛性が優れているのでどんな高速で運転してもミシッともいわないのです。ボディの造りが明らかに「過剰品質」でした。
ところが最近3台目のここのメーカーの車を保有するようになってから、その造りがすっかり変わってしまったことに驚きました。何もかもが楽チンになりそれはそれでいいのですが、以前の「過剰品質」は全く感じられなくなってしまったのです。
いつからこんな風に・・。ちょうど10年ぐらい前からここのメーカーは「グローバル戦略」を目指すようになったのですが、おそらくそのころからものづくりのコンセプト優先がコスト優先にがらりと変わってしまったと考えられます。
メーカーの規模が大きくなるとともに失われてしまったものは、皮肉にもこのメーカーの一番大事にしていたものだったのです。
以前は、今のように宣伝で連呼しなくてもユーザーには周知のことであったのです。連呼される「Das Beste oder nichts」が今となってはかえってしらじらしく空しく聞こえます。